Salesforce.comの年次ユーザー&デベロッパーカンファレンス「Dreamforce 2010」が12月6日(現地時間)よりスタートした。年を重ねるごとに拡大を続ける同カンファレンスだが、今年の参加者はおよそ3万名、うち基調講演の参加者は1万4,000名と、プライベートカンファレンスとしては最大級にまで成長した。

7日に行われた最初の基調講演では、会長兼CEOを務めるMarc Benioff氏が同社にとって6番目となるクラウドサービス「Database.com」を発表した。同サービスは、あらゆる言語、プラットフォーム、デバイスで利用可能なクラウドデータベースだ。

Salesforce.com 会長兼CEO マーク・ベニオフ氏

同社は毎年Dreamforceで大きな発表を行うのが常だが、今回も期待を裏切らなかった。同社にとって最後の牙城とも言えるデータベースのクラウドサービスに踏み切ったのである。

同氏はいつも古巣のオラクルについて何らかのコメントを出すが、今回は「効率化、民主的、経済的、エコではない"偽"のクラウドには注意したほうがよい」と、オラクルのデータベース高速化アプライアンス「Oracle Exadata」を批判した。

「オラクルが9月に開催した『Oracle OpenWorld 2010』は、今われわれがいるこの場で行われた。彼らはOpenWorldの会場で『オラクルはクラウドコンピューティングを提供している』と言っていたのだが、ラックやサーバを用いる彼のソリューションは『クラウドではない』と私が反論したところ、彼らも『いいや、これはクラウドだ』と言い張り、水掛け論になってしまった」

そして、同氏は「クラウドはソーシャルネットワーキングやモバイルをトリガーとして、AmazonやGoogleがメインストリームだった"Cloud1"から、FacebookやTwitterがメインストリームに取って代わった"Cloud2"にシフトしつつある」と述べた。

ソーシャルネットワーキングとモバイルによって第2フェーズにシフトしつつあるクラウドコンピューティング

こうした時代の変化に合わせて、クラウドベンダーを標榜してきた同社もアーキテクチャの変更を行っている。今回、データクラウド「Jigsaw」、データベースクラウド「Databese.com」という新たなクラウドサービスが発され、これらに既存の「Sales Cloud2」「Service Cloud2」「Chatter」「Force.com」を合わせた計6つのクラウドサービスによるラインアップとなった。

Jigsawは4月に買収したビジネスデータプロバイダーであるJigsawのサービスで、すでに同社の顧客はCRMアプリケーションからJigsawのデータを利用することが可能だ。つまり、今回の目玉はDatabese.comというわけだ。

今回2つのサービスが発表されたSalesforceのクラウドサービス

テクノロジ担当エグゼクティブバイスプレジデントのSteve Fisher氏は、「クラウドコンピューティングに合わせて、データベースもモデルを変える必要がある」と説明した。時代の要請に合わせ、同社が出した解がDatabase.comということだ。「企業向けデータベースにクラウドコンピューティングのパワーを合体させたものが"Database.com"だ。あらゆる言語、プラットフォーム、デバイスから利用することができ、100%オープンなデータベースなのだ」と同氏。

Salesforceが"100%オープン"を標榜するDatabase.com

同氏はさらにDatabase.comにおいてはセキュリティが最重要課題としたうえで、「われわれがこれまで使ってきたデータベースはシマンテックをはじめとする8万社以上の企業のデータを安全に預かってきたという実績があるとともに、セキュリティ監査基準「SAS 70 Type II」の監査を完了するなど、各種セキュリティ基準にも準拠している。世界で最も安全なデータベースと言える」と、その信頼性をアピールした。

Database.comの操作画面。展示会場「Cloud Expo」でデモを見ることが可能だ

先に「同社のクラウドサービスは6種に増えた」と述べたが、Benioff氏は講演の最後に「明日はさらに2種のサービスを発表する」と宣言した。加えて、Database.comの詳細についても説明が行われるらしい。今度は、どんなクラウドが飛び出すのだろうか? Database.comの詳細も合わせて、続きは明日レポートすることにしたい。