海外時間概況

ユーロ圏における懸念と中国の引き締め観測が重石となり、株式市場は全般的に軟調な展開となった。

ユーロにおいては、フランスの格付け引き下げ憶測(後に否定)や、ポルトガルの将来的な格付け引き下げコメント(S&P)など、各欧州債のドイツ国債との利回り格差がさらに拡大した。この動きに左右される格好で、ユーロは1.3000を割り込んだ。トリシェECB総裁など欧州当局者からのコメントがあるも、市場の催促相場は変わらず。

こういった中、米経済指標はケース・シラー住宅価格指数は低下し、株式市場およびドルの売りを誘った。しかし、その後発表されたシカゴ購買部、消費者信頼感指数の数値が市場予想を上回り、内容の雇用指数も良好だったことから、米株式市場ではやや反発。ユーロや豪ドル、CADは対ドルで再度弱含む展開となった。

ドル円は、リスク回避からのクロス円売りに阻まれ、ロンドン時間のドル需要があるも83円台に反落した。

主な経済イベント予定

・13:30 (日)須田日銀審議委員 会見

・09:30 (豪)第3・四半期GDP

・10:00 (中)11月中国PMI

・16:00 (独)10月小売売上高

・17:58 (ユーロ圏)11月製造業PMI 改定値

・21:00 (米)MBA住宅ローン・借換え申請指数

・21:30 (米)11月企業人員削減数

・22:15 (米)11月ADP全米雇用報告

・22:30 (米)第3・四半期労働生産性・単位労働コスト 改定値

・23:10 (米)イエレンFRB副議長 講演

・24:00 (米)10月建設支出

・24:00 (米)11月ISM製造業景気指数

・03:00 (米)フィッシャー・ダラス地区連銀総裁 講演

・04:00 (米)地区連銀経済報告

アジア時間の見通し

欧州を取り巻く信用リスクの波はそう簡単には収まりにくい状態。

アイルランドに対する支援決定が週初めにあったが、すでに市場は次なるターゲットを模索している段階では、既成事実。そして、市場の次なるターゲットは、ポルトガルになっているようだが、欧州の国債利回り格差(ドイツ国債と)を見る限りでは、スペイン、イタリアへの波及を警戒している模様。

また、ユーロ圏に対してのリスク回避の動きからか、CDS市場におけるドイツ・フランス国債の10月中旬時点から倍に上昇している。

問題視されている各国の状況は、それぞれのこれまでの経済成長によってさまざまである。単に国の構造問題であるギリシャの場合であれば、改革を進めていけばよいのだが、これも国民からの反発がかなりある。市場ではギリシャの債務返済プランの変更が行われるのではないかという危惧が出始めている。

今年行われたストレステストについては、ヘアカット(債務削減)率は少なめに見積もっており、またデフォルトに関しては織り込んでいない。市場関係者、特に欧州国債を保有している投資家にとっては、保有残高を減らす傾向が強くならざるを得ない。

テクニカル的にもユーロは200日移動平均線(1.3125-35水準)を下回っていることから、最大1.25台までの反落を想定している市場関係者もいる。

こういった中、本日のアジア時間で注目されるのは、中国のPMIとオーストラリアの第3四半期GDP。

市場では前回発表された消費者物価等から、中国当局の引き締めが年内にでもあるとの見方が優勢になっている。株式市場におけるリスクオフの状態に、重石の材料として意識されている。

また、昨日の海外時間でも話題になったオーストラリアGDP。市場の予想平均は前期比+0.5%となっているが、NY時間で0%成長になるのではないかという観測が出ていた。中国の引き締めスタンスに加え、成長率低下ともなれば、オーストラリアの株式市場および豪ドルは軟調な地合いになりやすいか。ただ、NY時間からの観測ですでに市場は動いていることから、0-0.5%の数値の範囲内であれば、短期的な豪ドルの買い戻しが入ってもおかしくない。

テクニカル的には、AUDUSD(豪ドル対ドル)の昨日の高値ポイントが10月の付けた安値ポイント群のネックライン水準にあることから、反発を見るためにはまずこれらの水準を上回ることが必要と見る。

マイナスの数値となってしまった場合には、ユーロ同様に上値がさらに重たくなってくることになろう。クロス円からの売りが出ていることから、本邦投資家のポジション解消の観測も出てきやすくなるか。