千葉県幕張メッセにて開催された、音と映像と通信のプロフェッショナル展「Inter BEE 2010」。本イベントは、国内外のトップレベルの放送機器や映像機器、音響機器、周辺アプリケーション、ソリューションが一堂に会する国際展示会だ。

本レポートでは、過去最多となる出展者数824社(1,345小間)が参加した会場の中から、クリエイターが気なる最新ビデオカメラ関連機材をピックアップしてお伝えしていこう。

ソニー(ソニービジネスソリューション)

放送・業務用機器の定番でもあるソニーからは、XDCAMとXDCAM EXが融合した4:2:2/50Mbps対応の最新メモリーカムコーダー「PMW-500」をはじめ、2眼式ショルダータイプ3Dカメラや、スーパー35mmCMOSセンサー搭載したNXCAMカムコーダーのコンセプトモデルなどが参考出品された。中でも注目を集めたのが、同社初のEマウント対応業務用AVCHDビデオカメラ(AVC/H.264)となるNXCAMカムコーダー。一般ユーザーにも馴染みの深いデジタル一眼「NEX-5/3」や先頃発売されたハンディカム「NEX-VG10」でも採用されているEマウントにより、手軽にレンズ交換を行えるほか、専用マウントアダプタ「LA-EA1」を使って、一眼レフデジタルカメラ「α」のAマウントレンズも装着可能とのこと。発売は2011年上半期予定。

左:即戦力として現場からの注目度も高いXDCAMメモリーカムコーダー「PMW-500」
中央:1台にふたつのレンズを備え機動性を重視した2眼3Dカメラ(2011年中発売予定)も参考出展
右:大型CMOSセンサーを搭載したEマウント採用の業務用AVCHDビデオカメラのコンセプトモデル

パナソニック

パナソニックは、9月のIBC2010で正式発表されると同時に業界内でも大きな話題を呼んだマイクロフォーサイズのレンズマウントと4/3型の大判CMOS撮像素子を採用した「AG-AF105」や、一体型でコンパクトな二眼式フルHD3Dカメラレコーダー「AG-3DA1」など、注目の新製品を展示。今回は国内での初お披露目となったAG-AF105は、マイクロフォーサイズ規格に準拠した一眼レフ用レンズによるレンズ交換が可能。DSLR的な被写界深度を持った独特の絵作りが手軽に行える。また、販売価格もREDなどの業務用シネマ撮影機器と比較し、非常にリーズナブルな設定となっていることから、今後クリエイターからの高い支持を集めそうな製品といえるだろう。

左:マイクロフォーサーズレンズ交換式カメラ「AG-AF105」。非常にコンパクトなボディーも魅力
中央:単焦点レンズなどを利用することで、従来では得づらかった被写界深度を持つ映像も撮影可能だ
右:マイクロフォーサーズ対応レンズのみならず、アダプターを介して豊富なレンズ群を利用できる

キヤノン(キヤノンマーケティングジャパン)

Inter BEE 2010でも大きなトピックのひとつとなったデジタル一眼動画を牽引するキヤノンでは、もはや定番ともいえる「EOS 5D markII」や、EOS MOVIE関連機能も強化された新製品「EOS 60D」などを含めた展示が行われた。また、放送用、業務用レンズとして、世界初となる防振機能付きHDポータブルズームレンズ「HJ15e×8.5B」や、先般開催された「IBC 2010」にも出品されたファイルベースビデオカメラXF105/XF100(3D撮影セット)の実機稼働展示も行われており、その威力を実際に体感することができた。また、やや地味な製品ながらワイヤレスでの遠隔操作を実現したワイヤレスレンズコントロールキット「WB-10T/WB-10R」にも、単3電池2本で最大80時間の連続使用が可能などの実用性にプロユーザーから注目が集まっていた。

左:DSLRムービーをよりプロユースなものにするアシスト機材などもセットアップされた状態で展示
中央:製品版として初出展となる「 HJ15e×8.5B」は、防振機能付きHDポータブルズームレンズだ
右:撮影時に重宝するワイヤレスレンズコントロールボックス「WB-10T/WB-10R」も登場した

ナックイメージテクノロジー

ナックイメージテクノロジーブースでは、REDキラーともいわれるARRI製のファイルベース・デジタルシネマカメラ「ALEXA」の最新モデル「ALEXA Plus」を展示。新たにWi-Fi(iPad/iPhoneなど含む)からのカメラ設定に対応したことにより、ケーブレスでの撮影・運用も可能となっている。そのほか、記録メディアはS×Sカード(ソニー)、記録方式はProRes422/ARRI RAW、感度設定160~1600(標準感度800)などに対応する、世界中の映画制作の現場から今最も注目されているカメラといっても過言ではないだろう。現在発売中のモデルも非常に人気が高く来年初旬までバックオーダー状態とのこと。なお、同ブース内にて、マクロフォーサーズマウントに対応した世界初の一眼レフカメラ用のシネレンズ「Compact Prime CP.2」(Carl Zeiss)も参考出品されていた。

左:大人気の次世代デジタルシネマカメラが「ALEXA Plus」としてバージョンアップし登場
右:Carl Zeissのシネレンズ「Compact Prime CP.2」、GH2との組み合わせで威力を発揮しそう

アスク

ユーザー待望となるAJA Video Systems製の新製品「KiPro mini」が国内初登場。本製品は、純製のHDD/SSDストレージモジュールとExpressCard/34フラッシュメモリーを採用し、Apple ProRes 422(HQ) / ProRes 422(LT) / ProRes 422(Proxy)対応、10ビット4:2:2の高画質での収録が行えることで好評な同社「KiPro」の機能をそのまま継承しつつ、大幅な小型軽量化を実現したポータブルビデオレコーダーだ。SDI、HDMI経由での最大8チャンネルのエンベデッドデジタルオーディオに対応。記録メディアには、新たにコンパクトフラッシュを採用する。ビデオカメラや三脚などにも簡単に取り付けられる非常にコンパクトなボディーは、大きな魅力となっている。

「KiPro mini」は、KiProの高機能を継承しつつ堅牢かつコンパクトなアルミ製ボディーとなった

ローランド

ローランドからは、昨今急速に需要を増しているUstreamなどへのライブストリーミング配信に最適なAVミキサー&レコーダー「VR-5」が登場。配信作業に必要なビデオスイッチャー、オーディオミキサー、レコーダー、タッチパネルモニターなどの各種機材が一体となったオールインワンソリューションとなっており、面倒な接続やセットアップなしに、パソコンとVR-5をUSB接続するだけで簡単に高品位なライブストリーミングが行える。また、同ブース内には、最大14系統の映像を自在にスイッチングできるモニター内蔵型のマルチフォーマットビデオスイッチャ「V-1600HD」などもラインナップされており、こちらはステージでのマルチスクリーン演出や収録などにも活躍してくれる。

左:VR-5なら、ネット配信に必要な様々な機材環境や機能を一台だけで簡単かつ手軽に実現できる
右:「V-1600HD」は、ユニークな機能を持つマルチ入出力対応のオールインワン型スイッチャーだ