PCモニターで電子書籍を読むのは疲れる?

電子書籍業界に大きなうねりが起こった2010年。日本における電子書籍は携帯電話向けの電子コミックが大きなシェアを占めているが、大手出版社・印刷会社や通信事業者等の参入が相次いでおり、文芸書・実用書・雑誌なども充実してきている。

すでにiPhoneなどのスマートフォンで電子書籍を読んでいる人は少なくないだろう。重い本は持ち歩かない。外出先では小さなデバイスでスマートに読書を楽しむスタイルだ。ただ、自宅ではどうだろう。最近の電子書籍サービスは、いちど購入したコンテンツはスマートフォンでもパソコンでも閲覧できるものが多い。それなら自宅では大きな画面のPCモニターで読書のつづきを楽しめばいい。でもそれをしないのは、「PCモニターで読むと疲れる」「デバイスを使い分けるメリットが少ない」などと思っているからではないだろうか。そんな"デジタル読書派"には、EIZOの23インチ液晶モニター『FORIS FS2331』をおすすめしたい。

ナナオが発売した23インチ液晶モニター『FORIS FS2331』。Paperモードなど多彩な表示モードを搭載した"デジタルコンテンツ時代"のための液晶モニターだ。直販価格は44,800円。スペック等詳細はこちら

画面を"紙っぽく"見せてくれるPaperモード

『FORIS FS2331』は電子書籍の閲覧を考慮した液晶モニターだ。表示モードのひとつに「Paperモード」を搭載。このPaperモードによって、モニターの表示のメリハリ感や全体の色味を"紙"の見え方に近い状態に調整してくれる。

液晶モニター上で"紙っぽさ"を再現するという「Paperモード」。はたしてその効果は?

PC用液晶モニターでは長い文章は読みづらい──ニュースサイトなどをよくご覧になる読者の方には身に覚えのあることだろう。あとで疲れ目や頭痛、肩こりなどに悩まされたり……。こうした経験から、「電子書籍ならなおさらPCの液晶モニターでは読みにくい」と認識しているかもしれない。しかし、実は、モニター側の調整次第でこうした読みにくさや疲労度はかなり改善できるのだ。

通常の紙の文書は、白い紙に黒い文字が印刷されているわけだが、この「紙の白」は液晶モニターや電子書籍リーダーが表示する「光の白」とは性質が大きく異なる。紙は周囲の光を反射することで白く見えており、自ら発光して白を表現する液晶デバイスと比べると相対的に文字の黒とのコントラストが低い。液晶デバイスで文字を見る時、目は紙で見るより強い刺激を受けているのだ。

ちなみに、『FORIS FS2331』のネイティブコントラスト比3000:1に対し、一般的な新聞紙のコントラスト比は62:1程度しかない。場合によっては、モニターと紙のコントラスト比は、数値上で実に500倍近い差があることになる。

『FORIS FS2331』のPaperモードなら、表示の色やコントラストを紙に近づけ、本や書類のような見え方を再現してくれる。これなら紙の本を見るのに近い感覚で文字を読むことができるだろう。加えて「Auto EcoView」機能によって画面の明るさが最適値に自動調整されるため、まぶしすぎず、暗すぎない目にやさしいモニター環境を実現してくれる。

「Auto EcoView」機能を搭載。本体の「外光センサー」が周囲の明るさを感知し、自動的に輝度が調整される。意識せず自然に目をいたわる設定に変更できると同時に、不要な明るさを抑えることで省エネにもなるという一石二鳥の機能だ

Paperモードで文庫と雑誌を読んでみる

実際に『FORIS FS2331』のPaperモードを使って電子書籍を閲覧してみよう。

ここでは文庫風のデザインで「青空文庫」を閲覧できるビューア(AIR草紙)を使ってみた。Paperモードに切り替えると紙の色がクリーム色に表示され、文庫本のリアルな風合いが目に映る。一般的な表示モードにくらべ、PCモニターで読んでいることを意識しないで済む。落ち着いて読める感じだ。それに、スマートフォンで読むのとは違って、PC環境であれば用語の検索など他の作業も並行して行ないやすい。

Adobe AIRアプリ「AIR草紙」で青空文庫の作品を読んでみた。上の写真は、Paperモード(左)とsRGBモードで表示したもの(クリックで拡大)。文字サイズを大きく設定すると、広いPCモニター上でも小説なども十分読めるように

つづいて雑誌を開いてみた。試しに利用した電子雑誌サービス「マガストア」では、購入コンテンツを複数のデバイスで閲覧できる。外では携帯電話やスマートフォン、家に帰ったらPCで、と閲覧環境を使い分け可能だ。さっそく購入した雑誌を「FORIS FS2331」で開いてみると、A4変形雑誌を実寸サイズで見開き表示できた。さらに誌面の一部を拡大してじっくり読むということもOK。小さくて軽いモバイル端末に対し、オリジナルに近いサイズで誌面全体を把握でき、見出し読み、ななめ読みができるのは大きなモニターならではの利点といえよう。

電子雑誌サービス「マガストア」で購入したパソコン雑誌「PC fan」を表示した例。レイアウトに工夫のある雑誌の誌面はiPhoneなどスマートフォンの小さな画面よりは、PCモニターのほうがずっと読みやすい

デスクに置いたモニターよりも、手に持つスマートフォンやタブレット端末のほうが本に近い感覚で読めように思えるが、実際にはモニターもそれほど違和感がない。むしろ、視覚的に紙に近いPaperモードが利用でき、ページ全体を見渡せるサイズがあることで、より自然な感覚で閲覧することが可能だ。

Paperモードは電子書籍だけでなく、紙ベースで扱う書類の作成・閲覧にも適している。特に紙の資料を見ながらPCで入力作業を行なう場合、視線は液晶モニターと紙の間を何度も行き来する必要があり、知らないうちに目の調整機能に負担がかかっている。Paperモードならその差を低減できるし、印刷した書類の仕上がりもイメージしやすい。したがって、WordやExcelなどの文書ファイルを閲覧・編集する際はもちろん、ニュースサイトで長い記事を読むときなども含め、文字に触れるシーンではPaperモードを積極的に使ってみるといいかもしれない。

充実した表示モード、切り替えはカンタンに

もちろん、『FORIS FS2331』が備える表示モードはPaperモードだけではない。「Cinema」「sRGB」「Game」と、ユーザーが調整した設定を保存できる「User」モードが搭載されている。各モードは同梱のリモコンで切り替えられるほか、付属ソフト「ScreenManager Pro for LCD(DDC/CI)」を使って任意のアプリケーションと表示モードを関連付けておくことができる。たとえば、電子書籍を読む(ビューアを起動する)ときはPaperモードに、映画を観る(=DVD再生ソフトを使う)ときはCinemaモードに──と手間なしで最適な表示モードに切り替えられるようにもなっている。

閲覧するコンテンツに最適な表示モードを利用できる。上の画面はモードごとのムービーの見え方の違い。左の「Cinema」が最適なモードとなっているほか、「Game」ではシャープがかかり全体のコントラスト感が強め、「Paper」ではやや暗めで地味な見え方になる

表示モードはリモコンで簡単に切り替えることができる

専用ツールを使って、アプリと表示モードを関連付けることも

これからのモニター選びは「読みやすさ」もポイントに

「IT革命」なる言葉が生まれて以来、音楽や映像などのリッチコンテンツが技術進歩の花形のように扱われてきたが、最近のネット文化を形成しつつあるコミュニティサービスでは、文字の伝達力の大切さが再認識されている。

液晶モニターなんて、白くて明るけりゃいいと思ってません?

さらに次のフェーズへ向かう電子書籍業界はまだまだ大きな動きが続くことが確実で、PCやスマートフォンで活字に触れる機会は減少するどころか増加するだろう。当然、これからの液晶モニター選びには、動画や写真の表示性能に加え、「文字の読みやすさ」が求められるようになる。量販店の店頭では輝度を最大化して見栄えよさげなモニターを見かけるが、"見栄え"と"見やすさ"は別の話。そうした点で『FORIS FS2331』は、電子書籍などデジタルコンテンツを消費する機会の多い現代に適した液晶モニターといえるだろう。

ナナオでは、『FORIS FS2331』と同じ機能をマルチタッチ対応液晶モニター「FlexScan T2351W-L」にも搭載しているほか、今後発売予定の新製品にも積極的にPaperモードを標準採用していく予定だ。

『FORIS FS2331』概要
カラー ブラック(FS2331-BK)
推奨最大解像度 1920×1080
最大表示色 約1677万色:8bit対応 (約10億6433万色中/10bit-LUT)
デジタル映像入力 DVI-D 24ピン×1(HDCP対応)、HDMI×2(AV/PC入力対応)
アナログ映像入力 D-Sub 15ピン (ミニ)×1
サウンド入力 ステレオミニジャック×1、HDMI×2 (AV/PC入力対応)
サウンド出力 ヘッドホン (ステレオミニジャック)×1
本体サイズ 549×403×212mm(スタンド部含む)
重量 約6.9kg(スタンド部含む)
撮影:石森 亨 イラスト:佐々木大介、よっしー