マイクロソフトが、Xbox 360向けの新たなゲームシステム 「Kinect(キネクト)」を、11月20日に発売した。

1月20日から日本で発売されたXbox 360 Kinect。欧米では11月4日から発売されている

Kinectは、コントローラーを使わず、自分自身の体を使い、直感的に遊べることができる入力デバイス。XBox 360に接続したKinectは自動的にプレイヤーを認識し、動きや声に反応。Kinectの前で、身振りをするとそれをカメラが認識し、操作できる。障害物競走やボクシングなどのスポーツゲーム、ダンスゲームなどが用意されているほか、映画視聴やソーシャルネットワークの操作などにも使用できる。米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOが、「今年最も注目すべきマイクロソフトの技術である」と位置づけているものだ。

東京・秋葉原のヨドバシカメラマルチメディアAkibaでは、午前8時30分から、「Xbox 360 Kinect 発売記念イベント」が行われ、18日午前8時から並んだ男性を先頭に約150人が列を作った。先着200人に、「チーム・キネクト」オリジナル グッズ (「武藤敬司×チーム・キネクト× Xbox 360 期間限定コラボ KINECT LOVE Tシャツ、「チーム・キネクト」サイン入り生写真など)をプレゼントした。

18日午前8時から並んだという男性にKINECT LOVE Tシャツに3人の直筆サインを入れてプレゼント

東京・秋葉原のヨドバシカメラマルチメディアAkibaでは約150人が列を作った

マイクロソフトの執行役常務ホーム&エンターテイメント事業本部長の泉水敬氏

発売イベントで挨拶に立ったマイクロソフトの執行役常務ホーム&エンターテイメント事業本部長の泉水敬氏は、「欧米では11月4日から発売されており、すでに100万台以上が販売されている。いよいよそれを日本でも発売することができ、日本の人にも楽しんでもらえることになった。ゲーム市場に、新たな時代が幕開くことになる。ぜひKinectを楽しんでほしい」と語った。

発売イベントには、KinectのテレビCMにも登場する「チーム・キネクト」のSKE48の松井珠理奈さん、松井玲奈さんのほか、プロレスラーの武藤敬司さんが登場。泉水執行役常務などとともに、発売カウントダウンを行った。

松井珠理奈さんは、「コントローラがないと聞いたときに、どうしたら操作できるのかと思ったが、自分が体を動かすとアバターが同じ動きをして簡単に操作できた。ダンスもできて楽しい」としたほか、松井玲奈さんは「家族や、友人と一緒に遊ぶことができて楽しかった」と、実際にKinectを操作した感想を語る一方、武藤敬司さんは「ゲームはしばらくやっていなったが、Kinectを使ってボクシングゲームをプレイした。ゲームのいいところは殴られても痛くないこと」として、会場を沸かしていた。

その後、武藤さんが体験したという「Kinectスポーツ」のボクシングで、武藤さんと、SKE48の松井珠理奈さん、松井玲奈さんが対決。結果は、武藤さんが2試合連続でのTKO負け。司会の辻よしなりさんに、「ちゃんと防御をしないから」と指摘されると、武藤さんがSKE48の2人に「防御ってどうやるんだ」と、プロレスラーにはあるまじき発言。「今度はプロレスのゲームを作ってほしい」と要望していた。また、SKE48の2人は「SKEの振り付けを体感できるゲームがあったらいい」と語っていた。

「チーム・キネクト」のSKE48の松井珠理奈さん(左)、松井玲奈さん(右)

CMで披露したシェーのポーズを決める松井珠理奈さん

松井玲奈さんは、武藤敬司さんの「プロレスラブ」のポーズ

すると、そこでプロレスラーの武藤敬司さんが登場

武藤さんの指導で「プロレスラブ」のポーズを練習するSKE48の2人

泉水執行役常務も加わって、「プロレスラブ」ならぬ「キネクトラブ」のポーズ

発売にあわせてカウントダウンでくす玉を割った(動画はこちら)

最初の購入者も入って、もう一度、「キネクトラブ」のポーズ

武藤さんとSKE48によるボクシング対決。武藤さんが2試合連続でのTKO負け

発売記念イベントの司会を務めた辻よしなりさん

なお、Kinectは、単体の価格が1万4,800円、Xbox360 4GBとKinectのセットモデルが2万9,800円、Xbox360 250GBとKinectをセットにしたスペシャルエディションが、3万9,800円となっており、いずれもゲームソフト「Kinectアドベンチャー!」が同梱されている。

KinectはXbox360のコントローラとして発売されたが、泉水執行役常務は、「Kinectの自然なユーザーインタフェースは、今後さまざまな分野でも応用できると考えている」とコメント。今後の利用範囲の広がりに言及する。

米マイクロソフトでは、「Productivity Future Vision(Microsoft 2019)」という10年後の世界を描いたビデオを制作し、同社サイトでも公開している。ここでは、社員が持つスレートPCに格納したデータを、身振りを使って、壁一杯のディスプレイに表示。全員でミーティングを行い、その後、必要なデータを自分のスレートPCや、卓上のディスプレイに取り込むことができる。身振りだけで、データを自由に操作する環境が実現されている。

また、離れた場所にいる言葉が通じない子供どうしが、壁に向かって文字や絵を書くことでコミュニケーションするといったシーンも描かれており、ここにもKinectを進化させた技術が採用されているといえそうだ。

マイクロソフトが描く未来のオフィス環境、教育環境、生活環境では、Kinectの入力技術は極めて重要なものになっている。たとえば障碍者にとっても、最低限の動きだけでさまざまな機器が操作できれば、利便性は大幅に高まる。その点でも、Kinectの将来の進化に注目が集まる。

このように、Kinectは、ゲームでの利用だけに留まらず、PCや携帯電話、テレビといったマルチスクリーンにも対応した技術に発展することになる。今回のKinectの発売は、ゲームの進化という点で大きな一歩だが、それ以上に、単にゲームコントローラーとしての技術ではなくも、それが我々の手元にやってきたという意味では、さらにも大きな一歩となる。