アイズは11月25日、USBメモリでPCを手軽に"専用端末化"できるクラウド型のソリューション「iZE Smart Desktop」を発表。すでに企業向けの営業活動が展開されており、早ければ年内には提供が開始される予定だという。

アイズ 代表取締役社長 川邊浩氏

同ソリューションは「地方の高齢者などでも手軽にネット通販などを利用可能にすること」(アイズ 代表取締役社長 川邊浩氏)がコンセプトの1つとされ、既存のPCに専用のUSBメモリを挿入することでPCを即座に専用端末化できる。また、このUSBメモリにはLinux版とWindows版の2種類が用意されており、Linux版は主として専用端末も含めてフルカスタマイズしたい企業が対象となる。

Linux版のUSBメモリには、ミラクルリナックスの組込みデバイス向けOS「Embedded MIRACLE」を搭載。これに専用ブラウザ「EMBrowser」とリモートデスクトップクライアント「iZE Smart Desktop」が実装されている。Windows版は汎用のWindows OSにこれらのソフトウェアがインストールされている。

「iZE Smart Desktop」の概要

このUSBメモリをPCに挿し込むと専用の画面が表示され、「Alt」+「Tab」キーなどを押しても常に専用の画面が表示されたままとなり、コピーや貼り付けなど通常のPC操作が一切できなくなる(専用の画面上での操作のみが可能となる)仕組み。

PCに専用のUSBメモリを挿入したところ

ユーザーの端末に表示されるのは、同社のクラウド環境(「iZE Desktop Server」)から配信される"画面(あらかじめ紙ベースの申請などによって登録されたユーザーごとのデスクトップ環境)"だけであるため、端末側にはデータが残ることがない。紛失時も電話での連絡により、USBメモリ(にあらかじめ登録されたシリアルID)の使用を停止する仕組みとなっており、第三者による悪用を防ぐ。

なお、同社はあくまで同ソリューションを利用するためのシリアルIDと同ソリューションのサービスIDを管理するだけであり、個人情報の厳格な管理が必要となる決済機能については、同ソリューションを利用する事業者側に委ねられる。

同ソリューション提供の仕組み

また同ソリューションでは、より強固なセキュリティを確保するためのオプションとして、日本ベリサインのワンタイムパスワード認証機能(「VIPオーセンティケーションサービス」)が利用可能となっているほか、独自開発による専用端末の提供も予定されている。

同ソリューションの価格は個別見積りとなるが、USBメモリ単体の費用(3000円程度)などの初期費用に加え、アクティブユーザー数に応じた月額費用(1ユーザーあたり200円程度)が必要となる。この価格について川邊氏は、「ロット(数量)が増えればさらに低く抑えることは可能」としている。

「iZE Smart Desktop」の初年度販売目標は1億円。ネット専業通販事業者のほか、リアル店舗も展開するネットスーパーや電子カルテ、金融、保険といった分野が主なターゲットとされているが、同氏は「アーティストの専用コンテンツを配信するファン向けのツールにもなり得る」として、エンターテインメント分野での導入も視野に入れているとのことだ。

「iZE Smart Desktop」のビジネスモデル