富士通は11月22日、設計・構築から運用保守に至るITシステムのライフサイクルを一貫してクラウド型で請け負うアウトソーシングサービス「プライベートクラウドサービス」を発表。同日より提供を開始した。

富士通 常務理事 サービスビジネス本部長 阿部孝明氏

同サービスには、一括料金で費用を支払う形となる「クラウド構築サービス」「クラウド運用設計サービス」「クラウド運用サービス」と、これらのサービスを一括、または月額費用として分割で支払う仕組みを提供する「クラウドオンデマンドサービス」がメニューとして用意される。これに、現状の業務システムの見極め(業務要件コンサルティング)からクラウドへの移行、移行後のアプリケーション運用保守までを実施する「APMモダナイゼーションサービス for Cloud」を加えたものが、今回同社が提供を開始した「プライベートクラウドサービス」の全体像となる。

「"運用"を起点としたクラウドサービスは業界初となるのではないか」と同社常務理事 サービスビジネス本部長 阿部孝明氏が説明する同サービスの特徴は、「運用サービスを従量課金型で提供すること」と「そのための人員配置、サービス提供体制を整えたこと」にあるとされており、ユーザーが自前でクラウドサービスを構築・運用する場合と比べ、2割程度の導入コストの低減を実現することを目安としてサービスを展開する。

また阿部氏は、「運用管理の複雑さや障害発生時にどのように対処するかといったことがクラウドサービス利用における課題」とし、このような要素を料金体系に組み込んでいることも重要なポイントであると強調している。

同サービスの価格はすべて案件に応じた個別見積となるが、同社は今後5年間で3000億円の売上(導入企業数1000社)を目標としている。

なお、基本的な課金体系は「運用保守に関する部分が定額料金(基本料金)となり、(仮想化システムの)ゲストOSの利用数やCPU、メモリなどITリソースの使用量の部分が従量課金となる」とされている。

メリットとしては、初期コストを低く抑えられることによる迅速なシステム導入が可能になることや運用コストを可視化できることなどにあるとされているが、ITサービスとしては特徴的なこの課金体系について同氏は、「大手事務機メーカーが採用しているコピー機の料金体系(本体の月額リース料とメンテナンス料が定額部分、用紙の使用枚数に応じたカウンター料金が従量課金部分)とまったく同じ考え方」だと説明している。

「プライベートクラウドサービス」の基本的な課金体系のイメージ