シャープが21日に発表した「BD-AV70」は、その超薄型スタイルから、発売前から話題となっている製品だ。シングルチューナーで、記録メディアはBDのみというシンプルなレコーダーだが、多機能なレコーダーが欲しいのではなく、現在使用しているテレビに録画機能をプラスしたいという人にとっては、自由ななセッティングを可能にする、そのスタイルが気になるということのようだ。BD-AV70は、薄型という以外は、まだ報じられていない点も多い。その後明らかになった、製品の詳細についてここでお伝えしたい。

超薄型だけでなく設置のの自由度を高める設計

BD-AV70の最大の特徴が、超薄型のボディ。縦置き/横置きの両方に対応し、さらに、ラックのわずかな空きスペースに設置することも可能となっている。そういったぎりぎりのスペースへの設置の際に問題になるのが、本体の放熱をどのように行うかという点だ。BD-AV70では、本体の中央後部にファンが配置されており、これで本体の放熱を行っている。ファンは、本体の底面方向に排気するようになっている。吸気は両サイドに設けられたスリットから行われる。底面のファンが取り付けられている部分は、そこだけ斜めに窪んだ形状。また、吸気のためのスリットも、側面だけでなく背面にも設けている。これは、設置スタイルにかかわらず吸気排気が効率的に行えるようにするためのものだ。

本体の中央後部に放熱用のファンを配置。両サイドから吸気し、背面に排気する

底面のファンの部分は、設置スタイルにかかわらず効率的な排気が可能なようにカットされている

また、ケーブルの引き回しに関しても、設置の自由度を高めるための工夫がなされている。BD-AV70のコネクタは、背面パネルにあるのではなく、背面パネルに取り付けられた蓋の中にある。このように奥まった部分にコネクタを配置することで、設置した際にコネクタ部分が飛び出すということがなくなっている。さらに、ケーブルは、蓋をした際に、縦置きにした場合には底面方向に、横置きにした際には背面方向へと、2方向に引き出すことが可能となっている。なお、BD-AV70では、アナログの入出力は廃止されており、映像機器との接続はHDMIのみ。これも本体の薄型化に寄与している。

コネクタは、蓋を開けた内部に配置

設置スタイルによってケーブルを引き出す方向を変えられる

マッハメモリーは、ディスクの種類も覚える

超薄型とともに、BD-AV70の特徴となっているのが、マッハメモリーの搭載。マッハメモリーは、BD-AV70のドライブへの書き込み、読み出しの際に、一種のキャッシュとして動作するメモリーだ。BDドライブは、電源をオンにした際、使用可能になるまでにある程度時間がかかる。これは、ドライブの起動までの時間に加えて、挿入されているメディアの種類を判別する必要もあるからだ。同社のBDレコーダーの場合、電源を入れてから、録画ボタンを押せるようになるまで、約58秒かかっていた(クイック起動などを全てオフにした状態)。それに対して、BD-AV70では、電源を入れてから約22秒で録画ボタンが押せるようになる。これは、まずメモリーに記録を初めて、ドライブの準備ができたら、メモリーに記録されているデータからBDメディアに書き込んでいくというマッハメモリーの仕組みによるものだ。また、電源をオフにした際に、その時点で挿入されているメディアの先頭部分のメモリーへの読み込みを行うことにより、次回、電源を入れたときには、約2.8秒という高速な再生スタートが可能となっている。なお、1枚のメディアに1つの番組が録画されているケースだけでなく、複数の番組を録画しているような場合でも、同じように高速な再生スタートが可能だという(マッハメモリーの容量自体はは公開されていない)。さらに、ディスクに記録されている映像/音声データだけでなく、メディアの番号と種別情報も記録しており、一度使用したディスクを次に挿入した際に、高速な認識を可能としている。メディアの番号と種類は、数百枚分記録できるため、一般家庭で使っている場合には、おそらく全てのメディアを記録可能だろう。どうせならば、32GBといっただ大容量のフラッシュメモリーを、一時記録用に搭載してしまえば、と思えなくもないが、同社によると、32GBのメモリーを搭載すると、1TBのHDDを搭載するのと同じぐらいのコストとなってしまうため、難しいとのことだ。

新型ドライブは、超薄型だが強制イジェクト機構を備える

BD-AV70が搭載しているドライブは、新開発した超薄型のスロットインタイプ。写真の左に置かれている通常のドライブと比べると、そのサイズの違いがわかる。

最近のレコーダー/プレーヤーに搭載されているドライブには、強制イジェクト機構が搭載されていないものが多い。強制イジェクト機構は、メディアにトラブルがあった際などに、なんとか手動で取り出すというものだ。この新型ドライブも、フロントに強制イジェクト用のホールのように見える部分があるのだが、その部分は、BDA-AV70に搭載された状態では、本体のフロントパネルで塞がれてしまっている。しかし、ドライブ底面に強制イジェクト用のノブのようなものを装備しており、BD-AV70に搭載された状態でも、外部からアクセスすることが可能だ。実は、同社のレコーダーは、どの製品も、強制イジェクト機構を装備している(マニュアルなどには表記されていないが)。同社によると、例えば、レンタルのDVDなどが取り出せなくなってしまった場合、プレーヤーを修理に出して取り出すのでは、延滞料金が、いったいいくらになるのか心配になる。そこで、最悪の場合、サポートからの電話の指示で、何とかしてメディアを取り出せるような機構を搭載しているとのことだ。

新開発のドライブ(右)。普通の5インチ塀サイズのドライブ(左)と比べると、その薄さがわかる