女性ファッション誌の人気モデルで女優の菊池亜希子が23日、東京・神保町シアターで行われた初主演映画『森崎書店の日々』(日向朝子監督)の初日舞台あいさつに出席した。

左から、日向朝子監督、菊池亜希子、内藤剛志 拡大画像を見る

『森崎書店の日々』は第三回ちよだ文学賞大賞受賞の同名小説を新鋭監督の日向朝子が映画化。東京・神保町を舞台に、失恋した主人公・貴子(菊池)が、失意と孤独の中で"森崎書店"という古本屋を手伝いながら、希望を持ち大人へと成長していく物語。書店の店主に内藤剛志、貴子の友人に田中麗奈などが脇を固め、貴子を通して神保町に生きる人々や町の物語も描いていく。

この日、初日を迎え、「今朝は起きたら天気が良かったので、撮影ルートを歩いてみました。1カ月ぐらい前からずっとそわそわしていましたが、撮影を思い出して『良かった!』ってすがすがしい気持ちに変わりました」と笑顔を見せた。

同作で初主演を務める菊池は、女性ファッション誌のモデルを中心に女優としても活躍。静かな透明感のあるたたずまいが魅力で、日向監督も「まとっている空気がとても気になった」と出演をオファーしたという。「(同作は)わたしが主役というより、神保町に生きる人々やそこにある空気が主役。わたしはその中に飛び込んでしまった一人の女性として自然に存在していられることが一番だと思った」と、撮影でも自然体を貫いた。また、独特の存在感に加えて彼女の「手」に魅了され本をめくるところが見たかったと監督から起用理由を明かされた菊池は、驚きながらも絶賛された手を観客に披露し照れ笑い。心に残ったシーンについて「叔父さん(内藤)に初めて心のうちを明かすシーンが、どう演じていいのか分からずしんどかった。流れに任せて演じたのでもう一回はできないですね」と振り返ると、内藤も同シーンについて「監督から“気持ち”が撮れたらいいから自由にしゃべってくださいと言われました(笑)。映画って奇跡が起きることを信じて演じていますが、もう一度やっても全然違うものになると思うし、僕もあのシーンが一番心に残っています」と、空気感を大切にする日向監督ならではの作品の見どころを語っていた。

映画『森崎書店の日々』は、神保町シアター、シネセゾン渋谷ほかにて順次公開。