10月11日、情報処理学会の50周年記念として、女流棋士がコンピューターとガチンコで勝負するというイベントが行われました。

コンピューターとの対局に臨んだのは、清水市代女流王将。2010年10月現在で獲得タイトル数は女流歴代一位の43期。押しも押されぬトップクラスの女流棋士です。対するコンピューターは情報処理学会による「トッププロ棋士に勝つ将棋プロジェクト」特製システム「あから2010」(以下「あから」)。「あから」とは10の224乗の数を示す数「阿伽羅」であり、将棋の局面の数がこの数に近いことに因んで命名されたそうです。本記事ではこの歴史的な対局の模様をレポートしたいと思います。(取材/文・罪山罰太郎)

対局の会場となったのは、東京大学本郷キャンパス。将棋ファンのみならず、人工知能の研究をしている方など、多くの人が詰めかけ、熱気ムンムンです。

それにしてもオッサン率が高……いや、なんでもないです

会場の入り口では、こんなパンフレットを配っていました。

「あから」をイメージしたマスコットキャラクター……。なんというか、サイケで電波ゆんゆんな感じです

もちろん、このイラストのようなロボットが将棋を指すわけではありません。(密かに着ぐるみがいるんじゃないかと期待していたのですが、いませんでした)実際の「あから」の本体ともいえるハードウェアはこちら。

169台のコンピューターを並列化した東京大学のクラスターマシン

これに最強レベルの将棋プログラムを4種類搭載し、これらの合議によって指し手を決めるのです。2010年現在、コンピューター将棋のレベルは恐ろしく高く、市販されている家庭用PCソフトでさえ、プロに迫る実力を有しているといわれのですから、「あから」の強さは推して知るべしです……続きを読む。