日立ディスプレイズは、ディスプレイ技術の開発会社である米Pixtronix社が独自開発した、MEMSシャッター方式ディスプレイの技術を用いて量産ディスプレイの試作品を共同で製作したことを発表した。

同ディスプレイは、1つひとつの画素ごとに設けた、MEMSシャッターを高速で開閉し、光の量を制御して画像の明暗の調整を行うことが特長。画像は、赤・緑・青色の各LEDバックライトからの光を順次切り替えることで表示するため、従来の液晶ディスプレイに用いられる偏光フィルムやカラーフィルタなどが必要なくなり、液晶ディスプレイ比でバックライトの光の利用効率は約10倍となる

従来の液晶ディスプレイ(左)およびMEMSシャッター方式ディスプレイ(右)の仕組み

今回開発された試作品は、従来の液晶ディスプレイ(2.5インチのQVGA:320×240画素)との比較で、2分の1以下の低消費電力化を実現したほか、液晶ディスプレイよりも鮮やかな色を再現した。また、既存の液晶ディスプレイより応答速度の高速化が可能であるため高い動画表示性能を-20℃の低温環境下でも実現することが可能だ。

さらに、新聞や書籍などのカラー表示が必要でないものを読む際には、バックライトを使わず外光をディスプレイの内部で反射させて白黒表示にすることもでき、この場合、電子ペーパーと同等の低消費電力化を実現することが可能となっており、用途に合わせて同じディスプレイで2通りのモードで利用することができるようになっている。

なお、今回開発した量産技術は既存の液晶ディスプレイ製造工程との互換性が高いことから、既存ラインでの製造も可能であり、日立ディスプレイズとしては、今回開発した新方式ディスプレイに加え、タッチパネルなど高付加価値なディスプレイ製品のラインアップ拡充を図っていくとしている。