米Evernoteは9月29日、日本向けパートナーサービスに関する説明会を開催した。説明会では、米Evernote CEOのPhil Libin氏が登壇。Evernoteの歩みや日本国内パートナーの取り組み状況について紹介した。

使えば使うほど価値が高まるサービス

米Evernote CEOのPhil Libin氏

Libin氏は、まず、Evernoteのポジションについて簡単に解説した。

氏は、「モバイルに対応したWebサービスは『エンタテインメント』、『ソーシャル』、『インフォメーション』の3つに分類できる」としたうえで、Evernoteがインフォメーションに属すること説明。そのうえで、「インフォメーション分野のサービスは、個人にまつわる情報を蓄積する役割を果たす。したがって、長く使えば使うほど、価値は高まることになる」と分析した。

Evernoteのポジション

さらに、そういった分析を裏付けるデータとして、2008年3月のサービス開始当初に加入した3万1000人の利用状況を紹介。約半数が翌月から利用しなくなり、その翌月に5~10%が非アクティブとなったが、それ以降はアクティブユーザーがほとんど減っていないことを説明。続けて、「利用年月が長くなるにつれて有償のプレミアム契約をするユーザーも増える傾向にあり、2008年3月に加入した3万1000人から得られる収益は、2008年4月の段階では月700ドルだったが、2010年7月には月1万ドルになっている」とコメントした。

2008年3月に加入したユーザーからの収益

ユーザー数は450万人、日本は第2位

Libin氏は、Evernote全体のユーザー数の推移についても紹介した。氏によると、現在のEvernoteユーザーは450万人以上。ユーザー数の増加率は月を追うごとに高くなっているといい、「最初の100万ユーザーを達成するまで446日を要したが、300万ユーザーから400万ユーザーになるまでには108日しかかからなかった」とした。

また、氏は、日本のユーザー数にも言及。450万ユーザーのうち約18%を日本が占めることを明らかにしたうえで、「この数字は米国の57%に次ぐ第2位で、3位以下の上位20カ国を足した数よりも多い。そのため、諸外国を歴訪する際には、まずは日本を訪問すべきと自分に言い聞かせている」(Libin氏)とコメントして笑いを誘った。

450万ユーザーのうち約18%が日本

日本に関しては、Evernoteを活用しようという姿勢も積極的だという。「日本ではすでにEvernoteをテーマにした書籍が8冊以上出版されているが、米国では2週間前に初めて書籍が出版されたばかり」(Libin氏)で、米国以上に熱心なユーザーが多いようだ。

そういった背景から、Evernoteでは今年6月には日本オフィスを東京に設立。日本人のサポートスタッフを常駐させ、パートナーとの連携を強化している。ワールドワイドで2000以上の企業がEvernoteのAPIを利用しており、約250の製品が市場に投入されているが、「これらのうちの半数は日本が占める」(Libin氏)という。

日本パートナーの最新ソリューション

続いてLibin氏は、今年7月に発表したパートナー製品のショーケース「Evernote Trunk」を紹介。そこにアップデートされた日本企業のソリューションを紹介した。

今回の説明会で大きく取り上げられたのは、以下の9企業/サービス。

企業名 提携内容
学研 雑誌「大人の科学マガジン」のコンテンツをEvernote Trunk Notebooksで提供。クリック1つで、Evernoteのノートブックページに「大人の科学マガジン」のコンテンツを追加できる
東急ハンズ 東急ハンズのWebサイトで公開されている生活ハウツー集「ヒント・ファイル」をEvernote Trunk Notebooksで提供。大人の科学マガジン同様、クリック1つでEvernoteのノートブックページに「ヒント・ファイル」を追加できる
NECビッグローブ 温泉旅行サイト「BIGLOBE 温泉」や女性向けポータルサイト「BIGLOBE Kirei Style」にEvernote Site Memoryを組み込む。サイト閲覧者は専用ボタンをクリックするだけで記事をEvernote上にクリップできるようになる。サービス開始は10月末の予定
ITメディア ITエキスパート向け成長支援情報サイト「@IT自分戦略研究所」にEvernote Site Memoryを組み込む。BIGLOBE同様、ボタンをクリックするだけで記事をEvernote上にクリップできるようになる
日経BP社 IT情報サイト「IT Pro」にEvernote Site Memoryを組み込む。BIGLOBE同様、ボタンをクリックするだけで記事をEvernote上にクリップできるようになる
NTT西日本 スキャナやプリンタなどを、PCを介さずにネットワークに接続できるようにする家庭向けハードウェア「N-Transfer」でEvernote対応機能を搭載。携帯電話(もしくはPC)からEvernoteアカウントを登録しておけば、スキャナで読み込んだ紙文書のデータが直接Evernoteにクリップされる
ジャストシステム iPhone/iPod Touch向け日本語メモアプリ「ATOK Pad for iPhone」にEvernote対応機能を組み込む。すでにアップデートモジュールをAppleに申請済みで、間もなくApp Storeで配信される予定
キングジム デジタルメモ端末「ポメラ」が出力するQRコードを読み取るためのiPhoneアプリケーション「ポメラQRコードリーダー」において、Evernote対応機能を組み込む。ポメラには、打ち込んだテキストデータをQRコードに変換する機能が搭載されており、ポメラQRコードリーダーは、それをiPhone上でテキストデータに戻すためのアプリケーション。Evernote対応機能が組み込まれることで、QRコードから戻したテキストデータをクリック1つでEvernoteにクリップできるようになる
フライトシステムコンサルティング iPhone向けTwitterクライアント「TweetMe」にEvernote対応機能を搭載。Twitterのつぶやきをクリック1つでEvernoteにクリップできるようになる。近日公開予定

そのほか、パートナー企業としてNTTドコモなどが加わっていることも紹介。Libin氏が「この半年でAndroidからのアクセスが613%も増えている」と現状を説明すると、NTTドコモの山下哲也氏は「Android端末で生成したデータをクラウド側で受け止め、アーカイブする役目を負うのがEvernoteになる」とコメントし、互いに連携を強化していくことを明かした。