Movidiusは9月30日、携帯機器向けにHD品質の3D体験を実現するビデオプラットフォーム「Myriad 3D」を発表した。

同プラットフォーム群で最初の製品としては「MA1133」 と呼ばれるデバイスが予定されている。これは、搭載されている最大8個のコアを処理量に応じて活用することで、携帯電話で撮影した高品質な3D動画および画像の処理、視聴、2D動画の3Dへのリアルタイム変換、HDコンテンツの再生や品質改善などを可能にする複数の独自機能を搭載した半導体デバイスで、TSMCの65nmプロセスを用いて製造される。また、同社のソフトウェアと組み合わせることで、2つのカメラレンズを介して撮影されたステレオ静止画やビデオ映像の撮影を、リアルタイムで3D処理を実行することが可能となる。

スマートフォンやタブレットPCでMA1138を介して3Dコンテンツを活用する際のブロック図のイメージ

Movidius 最高経営責任者(CEO)のSean Mitchell氏

同社最高経営責任者(CEO)のSean Mitchell氏は、携帯機器の3D対応について、「2011年2月には携帯ゲームも3Dに対応したものが発売される。また、携帯電話やスマートフォンといった製品は据え置きのデジタルTVに比べて製品買い替えサイクルが早い。つまり、そうした新機能を搭載したものの市場の成長速度もTVに比べて早い」との見方を示し、「2011年初頭には携帯機器の3D対応が加速し、市場が立ち上がる」ことを強調する。

同プラットフォームには、携帯機器で3Dを活用するための4つの中心機能を始めとするさまざまな機能が搭載されている。

1つ目は、同社が開発したリアルタイム2D-3D変換アルゴリズムを活用した3Dへの動画変換機能。同アルゴリズムにより、ビデオの動きを使って奥行きを自動で計算し、3Dのオブジェクトを作成することが可能となるほか、シーンの3D深度をスクリーンの特性に一致させることが可能となり、それぞれのモニタに応じた3Dの視聴体験を提供することが可能となる。

2Dの動画をリアルタイムで3Dへ変換することが可能

2つ目と3つ目は、3D画像を撮影するためい用いる2つのカメラレンズに対する入力を用意したことと、同レンズに対する補正機能。従来、これらのレンズ間は整合性を取らなければ十分な3D画質を実現することができなかった。しかし、「新たに開発した3D修正アルゴリズムを活用することで、カメラ(レンズ)の不整配置の補正やカメラの回転(ピッチ/ヨー/ロール)の補正、異なるカメラにおけるカラーバランスの補正などができるようになるほか、異なる3D規格にエンコードして保存することも可能となっている」とする。また、「ソフトウェアの変更により、もし新たな規格がでてきても容易に対応することが可能となっている」とする。

3D撮影用のカメラの配置補正などもできるため細かな調整なども不必要となる

そして4つ目は、視聴者の疲労や3D酔いを低減する機能で、「自動で両目の収斂性をアルゴリズム化、これによりより広いカメラレンズ間隔の設定が可能となるほか、収斂ポイントを自動的に計算し、奥行き感を持たせるか、飛び出し感を与えるかの設定が可能となる」とする。

3D酔いなどを抑制することも可能

同プラットフォームを活用することで、携帯機器での3D表示が可能となるが、HDMI1.4にも準拠しているため、外部出力を介して、デジタルTVへの3D出力が可能となるという。この場合、TV側の3D対応方式はどのようなものでも対応可能とのことで、「携帯機器ではステレオスコピックでメガネ不要で、TVではメガネを用いた表示ということも可能だ」としている。

すでにサンプル出荷は開始しており、参考価格は数ドル程度でソフトウェアも併せて提供することで、エンジニアは容易に3Dコンテンツを作製する携帯機器を構築することができるようになる。「日本市場は巨大なコンシューマ市場が存在しており、2011年早々の量産出荷を計画しているが、すでに採用を決定しているメーカーも存在している」とのことで、今後も製品ラインアップの拡充を進めるほか、ソフトウェアも「現在はMovidiusが提供しているが、近い将来オープンプラットフォームとして自由に作れるようにしたい」(同)とする。

MA1133を搭載した評価ボード(スタンダード版で5000ドル)。右の画像は裏面でステレオカメラを搭載している。2つのディスプレイの内、左がリアルタイムで3D化した映像となっている。ボード左の「10803」のシールの上にあるチップがMA1133、その右にある複数のチップが右からSamsung S3C6410(ARM11搭載のモバイルプロセッサ)、DRAM×2、フラッシュメモリ(3D変換アルゴリズムなどを格納している)となっている。ちなみにMA1133の消費電力は最大動作時でも300~400mW程度とのこと