昨日の海外市場

欧米株式はそろって反落。欧州タイムでは、欧州中央銀行(ECB)の3カ月物資金供給額が予想を下回ったことを受け、市場の関心はソブリンリスクへと集まった。これにより流動性懸念から銀行株が圧迫され、リスク回避の動きが広まった。NYタイムに入っても、最近の株式上昇スピードへの警戒感から利益確定売り優勢の状況は継続。しかし、今日のマクロ経済指標を見極めたいとの思惑もあり、下落幅も限定的だった。

株式市場での不透明感は、安全資産の金買いへとつながり、スポット金価格は連日史上最高値を更新。ドルが対ユーロで5カ月ぶりの安値圏まで売られたことも相場を下支えしている。

一方、ドル円は、83.50レベルのサポートポイントが意識され反転するが、戻りも弱い。介入警戒感は根強いものの、84.00すら回復できず、下値トライのムードを残したままアジア時間を迎えようとしている。

本日の主要経済指標

・08:50 日本・8月鉱工業生産(速報値)

・10:30 豪・8月住宅建設許可件数

・11:00 NZ・9月NBNZ企業信頼感

・15:00 英・9月ネーションワイド住宅価格

・16:55 独・9月失業者数

・16:55 独・9月失業率

・18:00 ユーロ圏・9月消費者物価指数速報

・18:30 南ア・8月生産者物価指数

・21:00 南ア・8月貿易収支

・21:30 カナダ・7月GDP

・21:30 米国・2QGDP(確報値/前期比年率)

・21:30 米国・2Q個人消費-(確報値)

・21:30 米国・2QGDP価格指数(確報値)

・21:30 米国・2QコアPCE(確報値)

・21:30 米国・新規失業保険申請件数

・22:45 米国・9月シカゴ購買部協会景気指数

要人発言

・16:00 英国・タッカーBOE副総裁の発言

・18:05 英国・フィッシャーMPC委員の発言

・23:00 米国・バーナンキFRB議長、米上院銀行委員会で金融規制改革について証言

・25:50 カナダ・カーニーBOC総裁の発言

・27:30 米国・バーナンキFRB議長、討論会に参加(ワシントン)

アジア時間

ファンダメンタルズへの根強い警戒感から、欧米株式が揃って利益確定売りへ走ったことで、アジア株式市場もその流れを引き継ぐ可能性が出てきた。朝方の日本225種の動きを見ても、9500をトライする状況が強まっており、市場の不安心理が窺える。

国内では景気下振れリスクに対処するため、追加の量的緩和への期待感が強まっているが、その効果は限られる可能性の方が高い。なぜなら、日本の抱える問題は、金融機関が資金を貸し出す先が細っていることにあり、新たな成長企業や分野が生まれる政策を実行しない限り、『信用創造』は生まれないからだ。実際、9600レベルで上値が抑えられているところを見ると、市場はそのことを見越している節も感じられる。

また、円高懸念も依然としてくすぶる。ドル安トレンドがどこまで進むかが、今日も焦点となりそうだ。昨日は長期債を中心に米債利回りが上昇した。しかし、ドル円との相関性が強い2年債は、0.430%で横ばい。米金融緩和が市場に与えるインパクトは、日銀の介入や追加の量的緩和以上にインパクトが強いため、米短期債の利回り低下圧力を理由に83.50ブレイクとなれば、9月15日以来の83.00割れも現実味を帯びてくるだろう。そのような展開となった場合、日銀が83.00ラインを死守するシグナルを市場へ発するかどうか。ただ、実際に介入を実施しても、政策金利が限りなくゼロに近い水準で推移している現状では、『流動性の罠』が市場で意識され易く、しかも2回目ということも考えれば、持続的効果という面で、期待できないのではないか。

ドル円 日足

日本225種株価指数 日足