今年はテレビアニメ『機動戦士ガンダム』のプラモデル、いわゆる「ガンプラ」が誕生して30周年になる。それを記念した様々なイベントが行われ、どれもファンにとっては見逃せないものばかりだ。そのなかでも、Yahoo! JAPANのiPhone(iPhone3GS、iPhone4)用アプリ「ガンダムAR」はその中でも特にユニークなもののひとつだろう。

これは同社の「ガンプラ30周年記念特集」のコンテンツとしてダウンロード配信されているもので、ARで『ガンダム』シリーズに登場するモビルスーツを再現するという内容だ。

Yahoo! JAPANの「ガンプラ30周年記念特集」ページ。このページのデザインは、ガンプラ模型本の金字塔『HOW TO BUILD GUNDAM 2』の表紙をイメージしてデザインされた

AR(拡張現実)アプリケーション「ガンダムAR」

アプリ「ガンダムAR」の初期画面

iPhone用アプリ「ガンダムAR」は、その名の通りAR(拡張現実)技術を活用して、ガンダムに登場するモビルスーツの姿を現実空間に出現させるというものだ。8月下旬にアプリがリリースされ、公開から7万ダウンロードを超える人気となっている。

アプリを起動するとまず、「静岡AR」と「マーカーAR」のいずれかを選ぶ画面が表示される。「静岡AR」の方は、JR東静岡駅 駅前広場にて開催中のイベント「模型の世界首都 静岡ホビーフェア」の会場でのみ使用が可能だ。

「静岡AR」は位置情報に基づいてモビルスーツのCGをアプリ上に表示する。従ってホビーフェアの会場まで足を運ぶ必要があるが、表示されるのは実物大のモビルスーツだ。CGが配置されている真下まで近づき頭上を見上げるなど、迫力のある光景を楽しむことができる。しかも出現する場所は、会場で展示中の「RG1/1ガンダム」の隣。リアルとバーチャル、2つの世界に同時に現れる実物大モビルスーツを目の当たりにできるのは、この機会を置いて他にはない(ただし安全上の理由から、ARを体験できるエリアと時間帯が10:00~18:00と制限されているので注意して欲しい)。

昨年のお台場に引き続き、静岡に登場した実物ガンダム

「静岡AR」のシャア専用ザク。下から見上げたり、実物大ガンダムとのツーショットを楽しめる

筆者は、9月上旬の平日に会場を取材したが、夏休みが終わったばかりで比較的空いており、会場内の様々な場所で撮影を楽しむことができた。ただ、何もない青空に向かってiPhoneをかざすという作業は、太陽の光がまぶしく、また画面も暗く非常に見づらいので、意外と大変である。今年が猛暑だったことを差し引いても、モバイルベースの屋外でのARでは、撮影環境が課題となりそうだ。また、会場にはガンダムARを解説する看板や専従の係員などが見当たらず、ネットで事前に情報を入手した人しかARイベントが開催されていることに気づけないというのが、やや残念だった。青空の下で巨大なARを体験することの面白さは、体験した人にしかわからないものがある。アプリは無料で提供されているので、チャンスのある方には、是非一度体験してもらいたい。

なお、「静岡ホビーフェア」および実物大ガンダムの展示は来年3月27日まで開催中だが、ガンダムARアプリの公開期間が9月30日までとなっているので、静岡でガンダムARを楽しみたいと考えている方は、急いで参加してほしい。

自宅で気軽にAR体験

一方の「マーカーAR」は、文字通りマーカー(CGを表示する際の印となるもの)が必要となるが、それさえあれば、「いつでも、どこでも」楽しむことが可能だ。また表示されるモビルスーツも選択可能で、「赤い彗星」でお馴染みのシャア専用ザクと、『機動戦士ガンダム00』に登場するダブルオーライザー、新旧2作品に登場する機体が用意されている。

「マーカーAR」で表示されたシャア専用ザク(左画像)とダブルオーライザー(右画像)。ここではPCのモニタ上に表示したマーカーを認識させている

「マーカーAR」を楽しむためには、マーカーを準備する必要がある。公式サイト上にPDFファイルが用意されているので、まずはそれをダウンロードして印刷する(PCなどのスクリーン上に表示させたものを使用しても大丈夫だ)。

「ガンダムAR」用のマーカーAR

次に「ガンダムAR」を起動して「準備したマーカーにカメラを向けてシャッターを切ると、画像の認識が始まる。無事にマーカーが認識されると、「ダブルオーライザー」か「シャア専用ザク」のどちらかを選択する画面になり、選んだモビルスーツのCGが画面上に現れるという流れだ。表示されたCGは、縦横の表示変更、また拡大・縮小・回転ができるようになっていて、適切な状態に調節することが可能。気に入ったポーズになったら、画面上にある「保存」ボタンを押すことでスクリーンショットを保存しておくことができる。自宅にあるプラモデルと並べてみる、あるいは自分が横に並んで記念撮影する、などといった楽しみ方もできる。

「ガンダムAR」に登場するモビルスーツはいずれも、3DCGで表示されている。細部まで再現されているので、様々な角度から眺めて楽しむことが可能だ。一方で「静岡AR」の方は自分自身が移動しなければならないため、好きな方向から見るのは少し大変だが、その分モビルスーツの巨大さを実感することができる。ぜひこのARで、リアルなモビルスーツを体感して欲しい。
(執筆 小林啓倫)

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