米連邦通信委員会(FCC)は9月23日(現地時間)、テレビ放送用に割り当てられながら使われていない、いわゆる"ホワイトスペース"を無線ブロードバンドサービスに利用するための規則「The Second Memorandum Opinion and Order」(Second MO&O)の最終承認を発表した。法的および技術的な問題を解決するルールが定まったことで、米国のホワイトスペース活用は具体的なサービスやデバイスを開発する段階へと前進した。

FCCは2008年11月に、テレビ放送用のホワイトスペースを無免許で利用できるようにするための枠組み作りに乗り出した。対象となる未使用帯域は、長距離伝送が可能で障害物も透過するため無線ブロードバンドサービスに適している。ただし、ホワイトスペースは元々、隣接チャンネルの干渉を防ぐために設けられたすき間であり、またスポーツや演劇・コンサートなどの無線マイクで一部がすでに使用されている。干渉や既存サービスへの影響の回避が大きな課題になっていた。

これまでホワイトスペース用デバイスに対して、テレビや無線マイクなどの信号を検知する機能の搭載を義務づけることが検討されてきたが、Second MO&Oでは信号検知を不要とし、代わりに位置情報機能とデータベースアクセス機能の組み込みを条件にしている。またテレビ用周波数帯へのデータベース登録を希望する無線マイクユーザーに対し、7チャンネルから51チャンネルへの登録を保証するように求めている。

FCCチェアマンのJulius Genachowski氏は「(ホワイトスペース活用の)最初の大きなアプリケーションは"Super Wi-Fi"になる」としている。Super Wi-Fiとは、既存のWi-Fiよりも長距離に届き、高速で、安定した接続を実現する。同氏は、過去数年の間にWi-Fi技術がモバイルパソコンやスマートフォンからエンターテインメントデバイス、乳児モニターまで、幅広い分野で新たな可能性を切り開いたと指摘。同様にホワイトスペースは「米国の国内経済とグローバル市場における競争力を高め、数十億ドル規模の民間投資と価値のある新製品や新サービスを生み出す。いま予想できるのはごく一部に過ぎず、多くは想像もつかないようなものになるだろう」とコメントしている。あるアナリストはホワイトスペースの開放が年間70億ドルの経済効果を生み出すと予測しているという。

ホワイトスペース開放を後押ししていたMicrosoftは同日、Craig Mundie氏(研究および戦略責任者)が「先見の明を持った判断」とFCCを称賛するコメントを発表。その中でワシントン州レッドモンドの本社において"White-Fi"システムのプロトタイプが、キャンパス全体を通じて経済的なインターネット接続を社員に提供していることを紹介している。