マイクロソフトパートナーコンファレンス2010(JPC2010)が9月8日、東京・水道橋のJCBホールで開催された。JPC 2010は、マイクロソフトのビジネスパートナーを対象に開催している年次イベント。前年の参加者は1,200人だったが、今年は2,100人の申し込みがあったという。同社代表執行役社長の樋口泰行氏が基調講演を行ったほか、同社の本部長やエバンジェリストなどがクラウド事業への取り組みやパートナー戦略などについて説明した。

マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏

樋口氏は、今年7月から始まった新年度の事業方針、クラウドビジネスの推進に向けた取り組みやその進捗を紹介。パートナー各社のビジネス拡大に貢献しうるビジネスモデルなどについて触れた。

「マイクロソフトはクラウドビジネスに大きく舵を切る。時代によって、パートナーとの関係にあり方やビジネスの仕方は大きく変わるだろう。クラウド環境においてはデータを預かるという立場を考えると、これまで以上に信頼性を得なくてはならない」

さらに同氏は、「世の中のシフトに追いつけずに、目先の利益しか上げない従来のビジネスを続けたがゆえに潰れた企業は多い。勇気を持って新たな方向にシフトしていくことが重要である」などと、パートナー各社がクラウドビジネスへシフトする必要性を示した。

クラウドビジネスについては、「社内体制の強化」「パートナーシップの促進」「オファリングの拡充」の3点から取り組んでいくことが示され、「日本法人の90%以上の社員がクラウド関連事業に従事し、法人向け全事業部門にクラウド専任部隊を100人体制でつくった。また、現在450社のクラウド認定パートナーを年度内には1,000社に、3年後には全パートナーとなる7,000社へ拡大する。また、11月にはDynamics CRM Onlineを投入、BPOSの新バージョンやWindows Intuneといった新製品を投入する」などとした。

そして同氏は、「マイクロソフトのクラウドの強みはオンプレミスと同じ環境で開発でき、もし元に戻したいと判断した際もそれが可能である点。オンプレミスのビジネスの延長線上で展開できるというメリットがある」とし、「信頼性」「幅広い選択肢」「パートナーエコシステム」の3点から優位性を訴求した。加えて、「世界規模でオンラインサービス基盤を整備していること」、「すべてのパートナーに新たなビジネスチャンスを提供できる」ことも、メリットとして付け加えた。

マイクロソフトのクラウドビジネスの戦略と優位性

基調講演では、6分40秒間にわたるビデオを放映。BPOSで実績を持つ内田洋行や大塚商会など8社のパートナー、Azureで実績を持つオービックビジネスコンサルタントや富士通ビジネスシステムなど8社のパートナーがそれぞれコメント。合計16社のパートナーがマイクロソフトのクラウドビジネスのメリットや強みを訴えた。

加えて同氏は、「Microsoft Online Serviceが全世界で4,000万ユーザーを突破したこと」、「日本でも有料サービス利用者が25万ユーザーに達したこと」、「Microsoft Online Services認定パートナープログラムに日本国内で400社以上が登録していること」などを示し、「導入企業の規模は250人以下から1,000人以上までと幅広い。コスト削減や短期間での展開などの声がお客様から出ている。マイクロソフトはクラウドに本気になって取り組んでいく」と説明した。

全世界でユーザーが4,000万人を突破したマイクロソフトのMicrosoft Online Service

また同氏は、2011年2月に創立25周年を迎え、本社を品川へ移転し社名を日本マイクロソフト株式会社に変更することについても言及。「これまで以上に日本に根ざした企業として展開していく」と語った。

マイクロソフトは2011年2月に社屋移転と社名変更を実施

同氏は自らが社長に就任して3年目に突入したことにも触れ、「当初は"マイクロソフトの顔が見えない"と言われていたが変わってきた。また、品質にこだわってきたことが米国本社にも伝わり、品質が製品開発に盛り込まれるようになった。昨年までは営業の基本動作の徹底に力を注いできたが、今年からは中長期的な視点で日本市場へのコミットを行い、日本のお客様にきめ細かく対応していく。2年、3年、4年、5年という長いスパンで関係を築いていく考えだ」と述べた。

さらに今年7月から始まった2011年度における注力分野として、「クラウドビジネスの加速」、「ソリューションビジネスの推進」、「PC活用の拡大」の3点を挙げ、「日本のお客様、パートナーからの信頼の獲得が重要であり、セリングおよびマーケティングモーションの進化に取り組む」と訴えた。

マイクロソフトの2011年度の戦略と注力分野