筆者が住む街の特性なのだろうか? "話しかけても良いオーラ"でも醸し出しているのだろうか。最近、国籍を問わず外国人旅行者に話しかけられることが非常に多い。だが、何を隠そう筆者は英語がてんでダメ。何を言おうとしているのか聞き取って理解することはできても、相手に的確な説明をすることができない。中学生並みの片言英語で返答するしかなかった。

しかし、情報通信研究機構(NICT)がリリースしたiPhoneアプリ「VoiceTra」を用いることによって、初めてスムーズにコミュニケーションできたのだ。その経験をもとに、「VoiceTra」の実用的かつ効果的な利用方法をレビューしていこう。

まずは「VoiceTra」をインストールしよう

iTunesを起動してApp Storeから「VoiceTra」をダウンロードしよう。利用条件としてiPhone互換iOS3.1.2以降が必須とされているので注意したい。原稿執筆時の最新バージョン3.0.6では、iOS4.0.2に対応している。筆者のiPhone環境はiPhone 3G(iOS4.0.2)とiPhone 4(iOS4.0.2)の2機種で利用してみたが、快適に利用できたのは言わずもがなiPhone 4だったことを補足しておこう。なお「VoiceTra」はNICTが実証実験のために公開しているアプリで、翻訳精度はTOEIC600点の語学力を持った人に相当するという。

「VoiceTra」起動画面

起動画面から実際の翻訳環境へと切り替わると「電話で話す時のように、iPhoneを耳に近づけてしゃべってください」等のインフォメーションが表示される。一度目を通しておくといいだろう

基本はゆっくり喋ること。そして難しい単語は避ける

先にも述べたが、筆者は東京観光の名所、浅草寺にほど近い場所に居を構えている。それ故か外国人旅行者に「浅草寺は何処?」や「雷門が見たいんだけど、どう行けばいいの?」と話しかけられることもしばしば。昔であれば「うわ、どうしよう?」とアタフタしていた筆者だが、旅行会話翻訳アプリケーション「VoiceTra」を使うことによってコミュニケーションが上手に成功した例をご紹介しよう。

外国人旅行者に話しかけられた時、筆者はまず「VoiceTra」を起動し、通常通話を行うようにiPhoneを耳に近付け、自ら「翻訳するので、ゆっくり喋って下さい」と音声入力を行った。そうして、翻訳したものを相手に聞かせることによって、外国人旅行者(話しかけてきたのはアメリカからの旅行者)にもこちらの意図を伝えることができた。翻訳の精度を向上させるために、相手にゆっくりハッキリ大きな声で喋ってもらうことが大切だ。

画面最上部は"何語から何語へ翻訳するか"を表し、その下には音声で入力した内容がテキスト化される。そして、「これが相手に伝わります」と書かれた内容で翻訳対象となる言語に訳したテキスト表示に加え、聞き取りやすい発音で読み上げてくれる。読み上げ対象言語は日本語、英語、中国語(普通語)、インドネシア語、ベトナム語

「VoiceTra」では、日本語、英語、中国語(普通語)、インドネシア語、ベトナム語に関しては音声での入力・読み上げに対応している。前述した言語であれば、翻訳を行ったスレッドの左側にある"再生アイコン"をタップすることで何度でも読み上げてくれるので時と場合に応じて活用するといいだろう。また、「VoiceTra」で翻訳した内容は履歴として蓄積されていき、画面左下にあるアイコンをタップすると、翻訳のために入力した音声がテキストとして一覧表示される。そのテキストをタップすることにより、再度音声入力せずとも翻訳結果を読み上げてくれるので、意図が伝わりきらなかった場合に繰り返し使うような文章はここから引き出すのが便利だろう。