図書館検索サイト「カーリル」

ふと目にとまったブログのエントリからオススメ本や参考文献のリンクをたどって、つい購入……という経験は多くの人がお持ちなのではないでしょうか。せっかく見つけた本を忘れないうちに買っておくのは手っ取り早い方法です。でもそれって、情報源を確保したつもりでも、中身は置いてきぼり──結局は知識として身につかない典型的な購読パターンとも言えます。一度読んだらもう読み返さない、という本も多いでしょう。

まさにそんな購読パターンを繰り返していた筆者が頼ったのが、昔も今も変わらぬ知の宝庫・図書館と、それを活用するための現代のツール・Webサービスを併せて活用すること。キモは「面倒」を克服するシームレスな運用でした。

図書館のサイトで貸し出し予約をするのが面倒な人へ

昔、筆者の地元(関東某所)の図書館で「検索」といえば館内の端末を利用して結果が返ってくるのに1分以上は待たされていたものですが、今や自宅からネットで市内4館を横断して即座に検索・予約でき、貸し出し準備ができたらメールで知らせてくれるという、素晴らしいシステムが取り入れられています。しかし、いわゆる「マイページ」のような機能が無く、借りたい本のリスト作成や読んだ本の履歴を管理することができません。

これを補完してくれるのが図書館検索サービス『カーリル』です。カーリルは、本を検索するとあらかじめ登録した図書館を対象にその本の蔵書状況・貸し出し状況を調べてくれるサービスです。

Google、Yahoo!、mixiいずれかのIDでログインでき、すぐに利用可能。キーワードで検索すると、該当する本とその貸し出し状況を一覧できる

図書館のサイトで同じキーワードを検索した場合との比較

図書館のサイトにも検索機能はありますが、カーリルはグラフィカルなUIに加え、検索結果ページで蔵書の貸し出し状況まで一覧できる点が特徴です。それぞれの本のページからは「予約する」ボタンで指定図書館の予約申請ページにジャンプ。改めて図書館のサイトで検索する手間なく、すぐに申し込むことができます。また、後日借りたい場合は「読みたい」リストに追加可能です。あとから一覧で管理できます。

カーリルの検索結果から、図書館の予約ページへ直接ジャンプする

「読みたいリスト」でも蔵書・貸し出し状況を一覧。複数の図書館を登録できる

外部の読書管理サービスへのリンクやAmazonのレビューを表示

検索対象にする図書館は複数登録できるようになっています。これなら、自宅と勤務先など利用できるところを登録しておけば、蔵書のある図書館を効率よく調べられます。

同じ商品を別のサイトで検索するのが面倒な人へ

このカーリルをさらに強力にするのが、Amazon上に図書館検索機能を追加するブラウザプラグイン『Libron(リブロン)』(Firefox用とGoogle Chrome用)です。インストールすると、Amazonの検索結果や商品詳細ページ上に、設定したエリアの図書館の蔵書状況が表示されます。これによって、改めて検索する手間をかけずに、図書館の予約ページへ直接ジャンプできるほか、カーリルと連動することで別の図書館で探すことができるようになります。

LibronはFirefox Add-onとChrome Extensionが提供されている。導入したWebブラウザでAmazonで書籍を検索すると、ページ上に図書館の蔵書状況が表示される。対象図書館は上部のプルダウンメニューで指定可能だ

Amazonから図書館の予約ページやカーリルのページを開く。蔵書されていない場合はTwitter連動で「Libreq(リブレク)」にリプライしておくと借りられるようになったら通知してくれる

これによって、Amazonで探した本を「買う」「借りる」「リスト登録する」「リクエストする」という作業がシームレスに繋がるため、"とりあえず買っておく"のと同じ手軽さでリスト管理や貸し出し予約を行うことが可能になります。

あちこちのサイトでリストを作るのが面倒な人へ

カーリルは"図書館検索サイト"と名乗るだけあって、機能もそれに絞り込まれたシンプルなサービスです。本を読んだ日付や感想などを記録したい場合は、他の読書管理サービスを活用するのが良いでしょう。カーリルのページには「ブクログ」「メディアマーカー」などの読書管理サービスに連携するボタンが設置されており、クリックするとそのサービスを開いて本を登録するなどの作業ができるようになっています。

借りた本や読み終えた本の記録を付けたり、いつか買いたいものをリストにしておくなど、連携して使えば読書記録や管理がより充実するでしょう。モバイル版やiPhoneアプリを併せて活用すれば、立ち寄った本屋で探し物をしたいときにも便利です。

ということで、検索やリスト登録に費やす面倒な手間が大幅に削減されたため、ムダな"積ん読"を増やさずに済むようになったわけです。が、読みたいリストへの商品追加が手軽なだけに、今度はリストばかりがどんどん膨れあがるという状況に……。さて、このリストをうまく消化するための良いツールは無いものでしょうか。

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