富士通セミコンダクター(FSL)は8月30日、ネットワークに接続する複合機やプリンタ、ルータなどの情報機器の待機時における消費電力を削減する、ネットワーク待機応答LSI「MB86C36」を開発、即日サンプル出荷を開始したことを発表した。サンプル価格は800円で、量産時には月産20万個の販売を目指すとしている。

ネットワーク待機応答LSI「MB86C36」

複合機や情報機器などのメインシステムは、待機時でも電力を消費しており、従来、この待機時電力はスタンバイ機能によって低下させていた。しかし、この方法では、メインシステムの電源を停止できないため、消費電力の削減は難しく、例えばEUにおけるErP指令では、待機時電力について、テレビが2013年より0.5W以下に、複合機やプリンタでは2014年より0.5W以下にするよう規定されているが、こうした要求の実現には課題が多かった。

同製品では、機器の待機時には、外部のネットワークからの接続確認などの要求信号に自動で対応したまま、メインシステムの電源を停止させ、使用再開時は、メインシステムを待機状態から復旧させることが可能。このようにメインシステムへの電源オンの時間を最小化することで、機器の消費電力を削減でき、省エネに最適な情報機器の開発が可能になるという。

待機時におけるスタンバイ時電力は17mW、ネットワークに応答している時の電力は40mW以下を実現。待機時において、メインシステムの代わりにネットワークプロトコルに応答し、メインシステムを復帰させる必要が生じた場合、速やかに電源制御を含む復帰処理を行い、通常動作モードに移行することが可能で、通常動作時には1Gbpsまでのイーサネットブリッジとして動作するようになっている。

また、同製品はメインシステムのイーサネットポートとネットワーク端子の間に実装して利用するため、既存装置の設計仕様を大きく変更することなく、利用することが可能となっているほか、複合機以外のネットワーク製品での利用も可能となっている。