8月22日から24日にかけてスタンフォード大学で開催されたHot Chips 22において、Advanced Micro Devices(AMD)は2010年後半から2011年にかけて登場する新プロセサに使われる新規設計の「Bulldozer」コアと「Bobcat」コアを発表した。

Bulldozerの発表を行うAMDチーフアーキテクトのMike Butler氏

Bulldozerは性能とスケーラビリティに主眼をおいたサーバからデスクトップなどの用途、Bobcatはフレキシブルで低電力で小型というのが主眼で、低電力で安価な用途が中心と説明された。

AMDのBulldozerとBobcatコアの位置づけ

なお、今回の発表は、これらのプロセサコアのマイクロアーキテクチャ的な面の発表に限定されており、クロックや性能、チップ面積、消費電力などのコアの物理的な側面についての情報は含まれていない。また、これらのコアを使ったプロセサとしてどのような製品が作られるかなどの情報も今回の発表には含まれていない

2つの整数コアと共用のFPコアを持つBulldozer

すでに発表されているように、Bulldozerは2個のIntegerコアが1個のFloating Point(FP)コアをもち、2つのスレッドを並列に実行する構造となっている。チーフアーキテクトのButler氏によると、IntelのHyperthraedのように複数のスレッドが1つのコアを共有すると資源の取り合いで性能がぶれるという問題があり、また、各部のハードの使用率がアンバランスになり効率が悪いという。

その点ではスレッドごとにコアを持つというマルチコアが良いが、レーテンシがある程度長くても良いという機能については必ずしもスレッドごとに持つ必要はなく、まとめて持った方が、面積、電力効率が良い。このようなトレードオフを行った結果、整数スケジューラ、整数実行ユニット、L1データキャッシュなどはスレッドごとに持ち、命令のフェッチからデコード、浮動小数点演算ユニット、L2キャッシュは2つのスレッドで共有するというBulldozerの構造になったという。この構造とすることにより、完全な2コアの設計と比べると80%程度の性能をかなり少ないチップ面積と電力で実現できたという。

Bulldozerコアの構造