クラウドストレージベンダーの米3PAR買収を試み、ライバル関係にある米Dellと米Hewlett-Parkard(HP)がそれぞれ買収額を吊り上げるという争奪戦を展開している。Dellと3PARは8月26日(米国時間)、1株あたり24.3ドル(総額約16億ドル)で再合意したと発表したが、同日HPは買収提示額を吊り上げた。

3PARはマルチテナント対応クラウド機能を持つストレージベンダー。高度な拡張性、ジャストインタイムのプロビジョニングなどを特徴とする"ユーティリティ"ストレージを標榜し、「3PAR InServ Storage Server」などの製品を持つ。

同社を巡っては、8月16日にDellが1株当たり18ドルの総額約11億5000万ドルで買収することで合意したと発表、その後HPがこれに33.3%のプレミアムを付け、1株当たり24ドルを提示した。これを受けDellと3PARの動きが待たれていたが、両社は26日、1株当たり24.3ドルで買収に合意したと発表した。Dellはここで、「Dellのグローバルブランドとグローバルの顧客ベースにより、3PARの業績を加速できる」と述べている。

HPは同日、Dellと3PARが合意した金額に11%のプレミアムをつけた1株あたり27ドルを提示した。Dellと比較した優位性として「2社間で多くのシナジー効果を実現できる」と述べ、3PARへの強い関心を示した。買収総額は当初の16億ドルから約18億ドルまで吊り上っている。

両社とも3PAR買収により、自社インフラ/クラウド戦略を拡充する狙い。Dellは3PAR取得により、DASからファイバーチャネルまで、全ストレージポートフォリオを含む統一したエンタープライズ環境を提供できる、としており、HPは「Converged Infrastructure」戦略を加速すると説明している。