台湾Phisonの6足ペットロボット「U.Bo」

西1階会場西1ホールには海外からの出展ブースが集まった一角があったのだが、その中で今回一番"それらしい"ロボットトイを見つけた。台湾Phison Electronicsが開発し、現在は台湾とヨーロッパで発売されているというペットロボット「U.Bo」だ。ま~るい形で頭がちょこんととがった水滴かレモンのようなボディに、小さな6本の足を持ち、よちよちと歩き回る姿はなかなかにカワイイ。

PhisonはNAND型フラッシュメモリのコントローラを主力とするメーカーで、これまでOEM供給のみを行なってきたが、このU.Boは初めて自社ブランドでリリースした製品だとか。その割にデザインなどなかなかこなれた印象だ。

「U.Bo」を出展していた Phison Electronics Corp. のブース

愛らしいフォルムのU.Bo

U.Boはカプセルに乗った知的生命体という設定で、2100光年彼方のBo星雲Bo惑星から故郷の危機を救うため地球へ「愛」のエネルギーを集めにやってきた、というバックストーリーも用意されている。心理学を取り入れたリアルタイム感情エンジンを搭載しており、オーナーがさまざまな「お世話」をして愛情を注ぐことで、それぞれのU.Boが個性的に成長していくという。つまりは"歩くたまごっち"といったところか。

さらにU.Bo同士が通信して仲良くなったり、集団でダンスをしたりといった機能もあるそうで、なんとなく「攻殻機動隊」の思考戦車「フチコマ/タチコマ」も想起させる。

正面のLEDディスプレイには喜怒哀楽の表情やさまざまなアニメーションが表示される

U.Boのサイズは幅76mm×高さ85mm×奥行き100mmで、重さは210g。左右3本ずつの足は2つのモーターで駆動され、クローラー式に前進・後退、右折・左折、その場での旋回などが可能だ。

正面の黒い円形キャノピーの部分は、121個(11×11)のLEDを配したエモーション・ディスプレイとなっており、喜怒哀楽の表情やさまざまなアニメーションパターンを表示できる。さらにその左右にもLEDを内蔵し、こちらもカラフルに光って感情を表現する。

また、後頭部のしっぽ(?)の部分にも赤外線インタフェースとLEDを搭載しており、これによって赤外線コミュニケーションモードでU.Bo同士が通信して友達になったり、別売オプションの赤外線ビーコンスピーカーを配置すれば複数のU.Boがシンクロしたダンスを踊らせることもできる仕掛けだ。

郷ひろみが「あ~ち~ち~」とカバーした『GOLDFINGER'99』の原曲、リッキー・マーティンの『Livin'La VidaLoco』に合わせてシンクロダンスを披露するU.Boたち。ディスプレイにはダンサーなどのアニメーションが表示される(wmv形式 8.11MB 2分05秒)
ステージの四隅に置かれた双葉型のオブジェが、シンクロダンス用の信号を送る赤外線ビーコンスピーカー。4個セットの別売オプションで、PCにUSB接続して使用する

また、U.Boには加速度センサと磁気センサが搭載されており、「お世話」はこれらを利用して行なう。優しくタッチすれば喜び、悪いことをした時はお尻を叩いてしつけをすることもできる。付属の「U.Boクッキー」を正面に近づけると食事を与えることができ、食後にはしっかりウンチもするそうだ。ディスプレイにウンチが表示されたらU.Boをつかんで振ってあげると掃除されたことになり、清潔と健康が保たれるとか。こうした世話のしかたによってU.Boは異なる性格になっていくと言う。このあたりは、まさに"たまごっち"風だ。

底面には「Live」モードと「Demo」モードの切り替え可能な電源スイッチとメニューなどの操作ボタン、スピーカーが。ちなみに、このように転んでお腹を見せた姿勢になるとU.Boの感情エンジンは不快感を示すのだとか。そんな時は「U.Boクッキー」でご機嫌取り?

本体にはWindows用ソフト「Robot Agent」がバンドルされ、PC上の仮想空間でバーチャルU.Boと遊べる「U.Bo Magic Land」もプレイできる。前出の赤外線ビーコンスピーカーを使用した場合はソフトと本体のデータをシンクロでき、仮想空間の中の分身を世話すると本体に反映されるそうだ。

また、標準仕様には含まれていないが、おもちゃショーにはBluetooth機能を搭載したサンプルも出展されており、携帯電話からコントロールするデモも行われていた(iPhone/iPod Touch用の操作アプリも現在開発中だそうだ)。このデモの様子はYouTubeのRobovationPhisonチャンネルにアップされている。同チャンネルの他、公式サイトのギャラリーにも、おもちゃショーパブリックデーの様子がアップされているが、来場者にはなかなかの好評だったことが伺える。

前述のようにU.Boは台湾とヨーロッパではすでに販売中で、本体は28ドルほど、オプションの赤外線ビーコンスピーカー4個セットは25ドルほどで卸しているとか。日本でも展開したいが、現状のまま日本語版にすると諸々で8,000円ほどになってしまうため、5,000~6,000円程度まで価格をおさえるのが課題と考えているそうだ。なんとか発売にこぎつけて、絶滅が危惧される(?)日本のオリジナル系ロボットトイにもぜひ刺激を与えてほしい。