トムソン・ロイターは8月19日、特許動向から特定の分野のトレンドを分析する「IPマーケットレポート」のナノテクノロジー版を公開した。

「IPマーケットレポート」 ナノテクノロジー版

同レポートは、トムソン・ロイターの特許情報データベース「Derwent World Patents Index (DWPISM)」と商標データベース「SAEGISTM」における2000年から2009年のデータを基に作成したもの。両データから、パーソナルケア製品向けナノテクノロジーの分野で急速な成長を遂げている企業、地域、製品ジャンルを挙げている。

それによると、ビューティーアンドパーソナルケア分野の革新的なナノテクノロジー特許数で2009年の1位となったのは富士フイルム。特許数は10件という結果だった。2位はドイツの化学メーカーBASFで9件。2003年に33件で1位となっていた化粧品メーカーの仏L'OREALは、2009年は4件で5位となっている。

トムソン・ロイターでは、富士フイルムやBASFといった企業が上位に入ってきた事実を踏まえ、「ビューティーアンドパーソナルケア業界において特殊化学物質製造会社の存在が増している」と分析。そのうえで、そういった企業が躍進していることについて「他の技術から派生したナノテクノロジー開発において公平性が保たれているということである」と説明している。

そのほか、レポートでは、特許発行国別や製品ジャンル別のナノテクノロジー特許数も掲載されている。特許発行国別では、特許協力条約(PCT : Patent Cooperation Treaty)加盟国に対して有効である世界知的所有権機構(WIPO : World Intellectual Property Organization)のものが1位で124件、米国が2位で51件、日本は5位で32件。製品ジャンル別では、「シャンプー、コンディショナー」が1位で135件、続いて「リップクリーム、口紅」が2位で126件、「サンスクリーン、紫外線防御品」が3位で109件となっている。

レポートはトムソン・ロイターのWebサイトから無償でダウンロードできる。