Windows Internet Explorer 9

IE9開発版の最新版となるIE9 Platform Preview 4が公開された。IE9 PP4はベータ版へ向けた重要なマイルストーンと位置づけられており、プレビューリリースとしては最後のリリースとなる見通し。当初の予定通り8週間ごとのリリーススケジュールが守られるとすれば、2010年10月には初のベータ版となるIE9 Betaがリリースされることになる。

IE9 Platform Preview 4

IE9 Test Drive - IE Beatz実行例

IE9はこれまでのIEシリーズと大きく異なる。標準規約への準拠、高いパフォーマンス、H/Wアクセラレーションの活用、短いサイクルでの開発版のリリースといったように、FirefoxやChrome、Safari、Operaの開発版と引けをとらない魅力を実現しつつある。IE9 PP4における主な特徴は次のとおり。

JavaScriptエンジンの統合と高速化

ほかのブラウザがJavaScriptエンジンを別プロセスとして独立させる実装を進めているのとは対照的に、IE9では新しいJavaScriptエンジンChakraをIE9本体へマージする方法を採用しているという。理由はパフォーマンスを発揮するため。COMを経由する従来の方法ではCOMが性能のボトルネックになる。JavaScriptエンジンをIE9に統合することでそうしたボトルネックを解消している。IE9でも従来のようにCOMを経由してほかのスクリプトもサポートされるが、性能が発揮できるという理由からJavaScriptを採用することが推奨されている。

ひとつの指標に過ぎないが、WebKit SunSpiderベンチマークですでにSafari 5よりも高い性能を示しており、Opera 10.6やChrome 5/6に匹敵する結果を出している。また、ブラウザ間で単一のDOMを共有するように変更されており、従来の実装よりも一貫性が向上していると説明がある。

IE8のJavaScriptとIE9のJavaScriptエンジンのモデルの違い - HTML5, Modernized: Fourth IE9 Platform Preview Available for Developers - IEBlogより抜粋

WebKit SunSpiderベンチマーク結果 - HTML5, Modernized: Fourth IE9 Platform Preview Available for Developers - IEBlogより抜粋

H/Wアクセラレーション

ほかのブラウザと比較したIE9の最大の特徴は、H/Wアクセラレーションを包括的に提供できる点にある。Windowsのみに対応すればよいため、こうした開発を実施しやすいのがIE9の最大の魅力だ。テキスト、動画、画像などに随所々々でH/Wアクセラレーションを実装しているほかのブラウザと比較して、全方位に渡って一貫したH/Wアクセラレーションを実装したIE9は、ユーザや開発者にとって予測しやすい動きをする素直なブラウザになるという。

HTML5/SVG 1.1 2ndエディション、CSS3、ECMAScript5サポート向上

IE9はHTML5をサポートすることが前提になっており、PP4でさらにサポートする範囲を広げている。HTML5、SVG 1.1、CSS3のサポートはよりインタラクティブなコンテンツを実現するうえで欠かせない機能であり、IE9でもっとも力を注いで開発されているポイントとなっている。ほかのブラウザも同様の取り組みを進めており、IE9の正式版が登場するころにはブラウザ間の互換性は大きく向上するとみられる。

Acid3 Test結果 - IE9 PP4

HTML5Test結果 - IE9 PP4

MicrosoftはIE9 PP4が重要なマイルストーンであるとしており、開発者やWebデザイナに対処して準備をすすめるように促している。IE9 PP4を使ってサイトのチェックをするとともに、他のブラウザと結果を比較して問題があれば報告してほしいとしている。