ママにうれしい機能は、きっと誰もがうれしい機能になるはず! という想いのもと「ママゴコロ家電」を打ち出す、東芝ホームアプライアンスによる2010年秋の白物家電新製品体験型セミナーが、都内にてこのほど開催された。

東芝ホームアプライアンスの石渡敏郎社長

2009年9月から、それまでの「ecoスタイル」に、「ママゴコロ家電」をコンセプトに加えて生活家電を展開している同社。セミナーの冒頭で挨拶した、同社取締役社長の石渡敏郎氏は「家事はやらなければならない重労働から、楽しんでやるものというふうに意識が変化してきた。そこで、できた商品をどう売るかというこれまでのマーケティングのあり方でなく、消費者の声を聞いて商品作りに活かすということで、"ママゴコロ推進室"を設置し、商品開発を進めている」と説明した。

また、「国内の4月~6月の炊飯器とオーブンレンジの出荷台数は前年比の108%と増加している。しかし、注目すべきは、金額ベースでは炊飯器、オーブンレンジ共に台数よりも金額の伸びが上回っている点。これは昨今の"内食化"の傾向もあり、高付加価値商品が支持されている結果ではないか」と、現在の調理家電市場の動向についての分析を語っていた。 

セミナー会場には、同社が今秋発売するサイクロン式クリーナーなどの製品が並んでいたが、その新製品のうち、注目の機種とポイントなどをまとめてみる。

新しい遠心分離システムを採用! サイクロン式クリーナー「TORNEO」

まずは、9月1日発売のサイクロン式掃除機「TORNEO(トルネオ)」シリーズの「VC-CG510X」。「デュアルトルネードシステム」と呼ばれる、2段階の遠心分離システムを採用し、吸い込んだゴミを上段のダストカップで高速気流により空気と分離し、排気に含まれる細塵を抑え、吸引力を持続させる。また、分離させたゴミをさらに下段のダストカップ内で低速気流によって小さくまとめることができ、他のサイクロン式掃除機で同じゴミを吸い取った場合に比べても、体積が小さくまとまっていた。

新型サイクロン式クリーナー「VC-CG510X」

重いカタログも吸着するほどのパワーをもつ

また、一般にサイクロン式は、ダストカップが透明で中身が見えるデザインが多い。この製品でもゴミを吸い取った達成感が得られるようクリアタイプのダストカップが採用されているが、帯電防止効果のある素材とUVコーティングが施されており、静電気を抑えてゴミの付着や傷をつきにくくするための工夫がなされている。

2つのゾーンから成る「デュアルトルネードシステム」

床面との密閉性を高めた「フロアフリーイオンヘッド」

手首に負担がかからないという「らくわざグリップ」

一方、床ブラシ内の真空度を従来モデル「VC-CY200D」比の3倍(絨毯上での比較)に向上させ、床面との機密性を高めたというフロアヘッドも注目。実際に、重いカタログ冊子を吸引してみると、吸い付いたまま持ち上げることができるほどの吸着力だった。ヘッドも90度回転するので、角の掃除でも自らは移動せずに手先だけでヘッドを角にピッタリと付けることができた。さらに、運転音も静か。53dBという数値は、夜間に使用しても近所迷惑にはならなさそうなレベルだった。

即席炊飯もここまできた! 真空圧力IH保温釜「RC-10VGD」

次に、9月中旬発売の真空圧力IH保温釜「RC-10VGD」。日本人の主食である"お米"の炊き方へのこだわりには個人差があるだろうが、毎日かなり適当な炊飯をしている私自身は、「炊飯器ひとつでこんなにもおいしさが違うのか」と目から鱗が落ちるほどの衝撃を覚えた。

真空圧力IH保温釜の新シリーズ

同製品の特長は、内釜内を真空状態にすることにより、空気が追い出された米粒の中に一気に水分を浸透させることができる「ダブル真空ポンプ」を採用している点。誰でも適切な時間と分量で吸水すれば、ごはんをおいしく炊けるのはわかっているはずだが、季節や米の種類によってベストコンディションを調整するのは難しく、なおかつそんな時間も手間もかけていられないのが現代人の本音。しかし、この製品ではその処理を真空ポンプにより短縮。素早くおいしくごはんを炊いてしまうのだ。

真空圧力IH保温釜のカットモデル

"浸し"に手間をかけたような炊き上がりを実現する「ダブル真空ポンプ」

さらに、新機種では、従来からの「ふつうコース」(炊飯時間50分)、「早炊きコース」(同20分)の2コースに加えて、新たに「かまど名人コース」、「そくうまコース」を追加。60分かけて、お米の甘みを引き出しながらじっくり炊く最上級のかまど名人コースで炊いたごはんは、まずはお米の表面のツヤが私がふだん食べているのとはまったく違う。数分保温しただけで表面が変色し、硬くなってしまう我が家のごはんとは違い、数時間経った後のごはんでも水分がしっかり残ってふっくらとしていた。

しかし、もっとも違いを感じたのは「そくうまコース」だ。じっくり時間をかけて炊飯する最上級コースで炊いたごはんがおいしいのは当たり前だが、吸水から炊き上がりまでたった30分という短い時間の即席炊飯でも、芯が残らずふっくらとして、ふだん自分が食べているごはんとの違いを認めざるを得なかった。

省スペース設置ができる! 過熱水蒸気オーブンレンジ「ER-HD500」

最後に紹介するのは、9月初旬発売予定の過熱水蒸気オーブンレンジ「石窯ドーム」シリーズの「ER-HD500」。高性能なオーブンレンジは確かに魅力があるが、こういった機種はだいたいにおいてその大きさにも圧倒される。そのうえ、設置場所には左右上方にすき間を空ける必要があり、さらに置き場所を取り、都会の集合住宅暮らしでは、キッチンに置けるスペースがなく、購入を断念せざるを得なかったりもする。

過熱水蒸気オーブンレンジ「石窯ドーム」シリーズ

これに対し、同製品では真空断熱パネルを採用。従来モデルでは壁面から最低でも4.5センチのすき間が必要だったが、今回の改良により、背面・両脇は壁際に接した状態で設置できるようになった。上方のすき間も20センチから10センチになり、省スペース化された。

食品を前後左右から包み焼きするという「石窯ドーム」。パンの焼き上がりを見ると、旧機種との違いは明らか

また、庫内が設定温度に達するまでの立ち上がりが速い。セミナーでは、冷凍クロワッサンの生地を用意し、200度設定で20分を経過した時点での焼き上がり具合を見たが、その時点でほんのり焼き目がつくほどだった。

同製品は、その名のとおり、天井がドーム状なのが特長。庫内にドライアイスを置いてみると、山状の天井に沿って煙が流れ、箱型のオーブンよりも熱が早くまわる様子がわかった。また、庫内は包み焼きのような状態で加熱するので、水分や旨みを逃さず、ムラなく熱を通し、ふっくらと焼きあがる。旧機種と新機種で焼き上げた10個のパンをそれぞれ積み上げると、高さの違いはパン2個分にもなった。