雑誌『+DESIGNING』、雑誌『Web Designing』、『マイコミジャーナル』の3媒体が、様々なジャンルのクリエイターたちを100人連続で紹介していく新企画。第43回は、自身でWeb制作する傍ら、海外のWebデザインを批評するメルマガを発行したり、雑誌へ記事を寄稿したりと精力的に活動するWebデザイナー、原一浩が登場。

原一浩プロフィール

1998年にWebデザイン事務所karadesignを開始。同時に当時は珍しかった海外のWebデザイン情報を専門に扱うメールメディア「DesignWedge」をスタートさせる。2006年、RIA(リッチインターネットアプリケーション)を中心に展開するエフエックスビイを設立。主な著書に『プロセス・オブ・ウェブデザイン』、『FFmpegで作る動画共有サイト』、『Flash逆引きデザイン辞典』など。

Q&A

――この仕事に就こうと思った年齢ときっかけは?

原一浩(以下、原)「コンピュータを扱って何かを作る仕事をしたいと思ったのは小学校の頃から。決定的だったのは、大学の入試をプログラミング1科目で受けて、それのみが受かったこと。開業することにしたのは、就職活動に失敗したからという後ろ向きな理由です」

――これまでで一番思い入れのある仕事は?その理由や思い出を教えてください。

「書籍『プロセス・オブ・ウェブデザイン』の仕事。この仕事は企画から始めて、12人の著者を集め、当時皆無だったWebデザインの制作過程における成果物のみに焦点を絞った書籍として企画しました。実際には苦労の連続で、取材あり、海外インタビューありで、あれこれと1年近くかかってしまいました。著者としてだけでなく、編集者としても広い視点が得られたという意味で、いい仕事となりました。制作者として実制作に関わりながらも、DesignWedgeを通してさまざまな人やモノに触れ合い、情報発信をしてきたからこそできたと思っています」

書籍『プロセス・オブ・ウェブデザイン 企画からデザインへ 落とし込みの技術』

――この仕事を辞めようと思ったことはありますか?また、そのきっかけは何ですか?

「説明するのが難しいのですが、基本的にはいつでも辞めたいですね。いつもいやだいやだと思っている上に、いやな仕事が舞い込んでくるのですが、始めるといつの間にかのめりこんでしまって、気がつくと終わるというパターンを繰り返しています。最後のほうはノリノリになっていることが多い。最近は結構やりたい系の仕事を取りにいくようにしているので、はじまる前からのめり込んでいること多数」

――これから取り組んでみたいこと、関わってみたい仕事は何ですか?

「自分で作った場をベースに、さまざまなビジネスを展開していきたいですね。その中心となる場は、デザインからシステムまでじっくりと自分で組み立てて育てていきたいと思っています。最近は、デザインのクオリティを落とさずに継続させていくシステム作りに興味があります。デザインガイドラインを遵守する作業を、システムの力で解決していくと言えばいいでしょうか。システム開発だけをやっている人にはできないタイプの仕事だと思います。また、最近イントラネット系の仕事を多く受けています。あまり表に出ない仕事ですが、クライアント自身がユーザーなので、使用者の顔が見えるところにやりがいを感じています。デザインとシステムの両側面から、課題の解決を求められることが多いですね」

――愛用している、思い入れのある道具や本、ものを教えてください。

「なぜかPCは小さければ小さいほどいいと思っていて、いつも小さなモバイルデバイスを買っては乗り換えています。最近はLinuxベースのOSが動くNetWalkerという端末をよく使います。もちろんこれを使ってデザインワークはできませんが、開発はちゃんとできます。これくらいのサイズのMacが出ればいいのに。あとは、『Vaqum』というコードネームでずっとシステム開発をしているデザインクローラー。自分で作ったクローラーで、世界中のサイトをキャプチャして回るものです。最近はこれをもとにして、デザインのコンサルティングなどを行なっています」

原氏愛用の『Vaqum for Design Wedge』

――尊敬している人を教えてください。

「渡辺篤史、安藤忠雄、屋敷豪太」

――アイデアを練る場所、時間などを教えてください。

「イライラしている時は、意外とアイデアが出ます。あと、自転車に乗っている時、風呂やトイレ、本屋にいる時なども。カフェでのんびりしている時は、ポカンとしてしまって案外何も出ません」



――1カ月で仕事をしない日は何日ありますか?

「たぶん4日」

――理想的なオフの過ごし方は?

「家族と旅行に行くこと、実家に帰ったり、温泉などに行くこと」

――趣味やコレクションなど、いま、個人的にハマっていることを教えてください。

「開発合宿はおもしろい。温泉宿に行って開発をするだけですが、旅行とリラックス、療養とおいしい食べ物を味わえるだけでなく、仕事をしているので後ろめたさもありません。あとは、通勤ではロードレーサーに乗っているので、これも趣味といえば趣味ですね。海外ドラマを観るのは昔から好きで、最近だと『デクスター』などが好きです」

――お酒を飲みますか?週何日、どのくらいの量を飲みますか?

「お酒はそれほど飲みません。週1回くらいでしょう。以前は週3くらいでしたが。いろいろな刺激があるので、飲みにいくのは好きです」

――同業でよく飲みにいく、食事をする人は誰ですか?

「開発界隈の人やデザイン界隈の人。特定の人ではなく大勢が集まるいろいろな会によく参加します」

作品紹介

大阪大学
CL:大阪大学 / DI IA:原一浩