Analog Devices(ADI)は、JESD204Aデータ・コンバータ・シリアル・インタフェース規格に対応する、低消費電力かつ80MSPSを実現した14ビットA/Dコンバータ(ADC)「AD9644」(デュアル)および「AD9641」(シングル)を発表した。2製品ともにすでにサンプル出荷を開始しており、1000個受注時の単価はAD9644が37ドル、AD9641が26.35ドルとなっている。

「AD9644」のパッケージイメージとブロック図

JESD204Aシリアルインタフェース規格は、データコンバータと、FPGAのような他のデバイスとの間で必要となるデータ入出力数を削減することが可能。相互接続数が少なくなることでレイアウトが簡素化し、伝送距離を伸ばしつつ、シグナル・インテグリティ(信号の完全性)を改善し、プリント回路基板のレイアウトを簡素化できるようになったことから、競合製品の半分の消費電力で基板占有面積を25%削減することが可能となった。

AD9644は、消費電力が80MSPS動作時で423mWを実現した集積回路化された出力誤差補正ロジック付き多段差動パイプラインアーキテクチャを特長としている。また70MHz、80MSPSにおいて、73.7dBFSのS/N比(信号対ノイズ比)、そして92dBcのSFDR(スプリアス・フリー・ダイナミックレンジ)を実現している。

JESD204Aでコード化されたデータレートはリンク当たり最高1.6Gbpsに対応しており、AD9644はADCチャネル各個ごとのデータリンク、または両ADCチャネルに対して1個の共用データリンクをサポートする、2つの出力モードを提供している。広帯域幅の差動サンプル&ホールドアナログ入力アンプを備えることで、さまざまなユーザの求めに対応した入力範囲に対応しており、内蔵された電圧リファレンス回路により、設計課題を容易に解決できるようになる。さらにデューティ・サイクル・スタビライザも付加されており、ADCクロックのデューティ・サイクルの変動を補償し、コンバータは優れた性能を保持することができる。