ソフトバンク孫正義社長

ソフトバンクは、2010年度第1四半期の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比5.2%増の7,008億4,000万円、営業利益は同44.6%増の1,566億300万円、経常利益は同61%増の1,268億4,400万円、当期純利益は同29%減の194億3,800万円で、増収増益となった。売上高、営業利益とも四半期として過去最高の実績だ。高い人気を誇るiPhoneをはじめとする携帯電話事業が好調を継続し、契約数とARPUが大きく伸長したことが貢献した。

同社の携帯電話事業は、売上高が同8.3%増の4,410億7,800万円、営業利益は同70.4%増の1,026億5,700万円だった。新規契約数から解約数を引いた純増数は69万6,600件で、前年同期の数値の2倍以上だ。さらにARPUは前年同期比260円増の4,290円、なかでもデータARPUは同370円増の2,250円という結果であり、データ通信の利用が多いiPhoneが牽引車となって、データARPUを押し上げている。携帯電話全体の累計契約数は2,257万3,200件で、シェアは0.6ポイント上昇、19.9%となっている。

携帯電話事業は、営業利益が70%増

売上高、営業利益ともに過去最高

同社の孫正義社長は「連結営業利益は1,000億円の大台に乗り、四半期ベースとして初めて、KDDIを追い抜くことができた」と述べた。この6月に発売したiPhone最新機種のiPhone4は「当初、我々が予想していた以上の熱い関心を集め、想定をはるかに上回る予約が入り、未だにさばき切れていないほど」(孫社長)であるという。

増収増益であるのにもかかわらず、純利益が前年同期比29%減の194億円3,800万円だったのは、同社グループに属するヤフーが東京国税局から節税する目的で、データセンター事業のソフトバンクIDCソリューションズ(現在はIDCフロンティア)を買収したと指摘され、追徴課税され、支払ったためだ。これに対し、孫社長は「データセンターを自社で保有するのは、世界中のIT企業にとって、本業のなかの本業であり、これを税務目的だという国税の指摘はまったくの的外れだ」としており、ヤフーが同社を買収したのは、クラウドへの展開、サービスの増強、コスト削減が目的であり、「あくまで事業上の必要性」(同)があったと主張した。

一方、同社は、同社の携帯電話は、電波が届きにくいとのユーザーの声を受け、2010年3月に基地局倍増計画を打ち出し、3月末で6万カ所であった基地局数を2011年3月末で12万カ所にする意向を示していたが、6月末では6万6,000ヶ所に留まっている。孫社長はその進捗状況について「いま、機材の調達や、場所の確保を進めており、9月から本格サービスに入れる、1.5GHz帯の基地局は9,000ヶ所で設計済み。2GHz帯の方は設置場所が確定しているのが1万9,000ヶ所ある、予定通り、着々と進行している。上期は準備の段階で、工事はほとんどが下期になる」と語った。

また、一般家庭にも設置できる超小型基地局「フェムトセル」申し込み数受付は3万件に達しているという。フェムトセルの設置には基本的にはブロードバンド回線が必要になるが、他社のフェムトセルは接続できる回線を制限しているのに対し、同社は「オープン」であることについて、孫社長は「当社のフェムトセルがヤフーBBにしかつながらないとしたら、接続機会が減ってしまう。ヤフーBB以外の回線にも接続できる方が、ユーザーにとってベターだ。固定網を提供する企業と有償、無償で交渉を進めている」とした。

固定通信事業の売上高は、同1%減の858億7,600万円、営業利益は同89.7%増の66億6,100万円となった。「マイライン」などの中継電話サービスや国際電話サービスでの減収傾向が続いたことなどから、減収だったが、「おとくライン」サービス用設備にかかるリース料が減少したため、大幅増益となった。

ヤフーがグーグルと提携し、Yahoo! JAPANの検索サービスで、グーグルの検索エンジンと検索連動型広告配信システムの採用を決定したことについて、孫社長は「Yahoo! JAPANはもともと、設立当初から、自前の検索エンジンをもたず、米国のYahooからサービスの提供を受け、独自サービスを付加していた。米Yahooが自社の検索エンジンの継続を断念したため、新たなエンジンとして、MicrosoftのBing、Googleなどが選択肢として挙がった。これらを検討した結果、Bingは日本語化の準備が十分整っているとは判断できなかったので、Bingを選択しなかった」と述べた。

孫社長とRobert Goldberg氏

日本の検索エンジン分野では、グーグル陣営による独占になるのでは、との疑問に対しては、「検索連動型広告の市場では、価格はオークションで決まる。ヤフーとグーグルは別々の市場を展開しており、料金体系も別々のメカニズムだ。公正取引委員会にも尋ねたが、価格統制にはならないとのコメントを得ている」(同)としている。

また、ソフトバンクは、ソーシャルゲーム大手・米Zynga Game Networkと合弁で新会社ジンガジャパンを設立することを発表した。国内でソーシャルゲームを発展・普及させることを目指し、年内にもサービスを開始する。ソフトバンクによれば、Zyngaは世界最大級のソーシャルゲーム事業者で、月間アクティブユーザー数は2億3,000万人に上っている。孫社長は「国内の複数のSNS事業者と提携していきたい」として、iPhone、iPadのほか、一般の携帯電話向けにもサービスを提供する意向で、同社の携帯電話事業のデータARPU上昇に結び付けたい考えだ。ジンガジャパン社長に就任する予定である、米Zynga シニアバイスプレジデントのRobert Goldberg氏は「我々は(米国で)急成長しているが、今後さらにグローバルで拡大していきたい。日本は重要であり、最先端の大きなゲーム市場だ。日本で、ソフトバンクといっしょに事業を展開できるのは喜ばしい」と話す。