シャープは13日、LED電球の新製品発表会を行った。発表会では、まず、健康・環境システム事業本部 副本部長兼LED照明事業推進センター所長の大塚氏が壇上に立ち「昨年8月にLED電球に参入してから、すでに累計で350万台のLED電球を生産し、現在、ラインナップは13機種にまで増えています。今回発表する製品は、業界最高の明るさを達成した小型電球タイプ、きらきら感の再現を可能にしたシャンデリア電球タイプ、白熱電球と取り替えたときに、サイズや重さの面で違和感の少ない一般電球タイプの3タイプ」と、製品の概要を説明した。発表された製品は、いずれも独自性の高いものだが、これについては「弊社のLED照明事業は、LEDデバイス、電源モジュール、最終的な製品に至るまで、すべて一貫して自社で設計開発を行っている垂直統合が大きな特徴。このモノづくりの手法が、ユーザーニーズにマッチした商品を、最短で開発することを可能にしている」と、述べている。なお、同社は、2010年春より新ブランド「ELM」(エルム)をたち上げ、LED電球だけではなく、LED照明全般にこのブランドネームを適用する。

シャープのLED電球全ラインナップ

LED事業の展開について語る大塚氏

製品の詳細を説明する立氏

その後、LED商品企画部の立氏より、新製品の詳細が説明された。製品の発売は8月25日。価格はオープンで、市場価格は、E17口金に対応する機種が4,000円前後で、E26口金に対応する機種は3,000円前後。

なお、発表会後に伺ったところ、すべてのモデルについて、Ra値は非公開。また、4,000円という推定価格が、このところ各社より発表されている、E17ソケットに対応したLED電球の中では若干高めである点については、小型電球タイプ、シャンデリア電球タイプ、ともに独自性の高い製品なので競争力は十分と考えているのことだ。

業界No.1の明るさを実現した小型電球タイプ

小型電球タイプ「DL-JA51N」(昼白色タイプ)は、現時点で発売されているE26/E17の両タイプのLED電球の中で、最高の明るさ「500lm」と発光効率「96lm/W」を実現した製品。消費電力5.2Wで、直下の明るさは 小型白熱電球60W形相当となる(500lmという全光束は、40W形の白熱電球相当)。電球色相当の「DL-JA42L」は、全光束400lmで、発光効率は77lm/W。直下の明るさは、小型白熱電球50W形に相当する。

E17口金に対応するLED電球でありながら、500lmという業界No.1の明るさを実現する「DL-JA51N」(左)と電球色相当で400lmの明るさを実現する「DL-JA42L」(右)

また、寿命の長さも大きな特徴。一般的に、E17口金に対応したLED電球は、E26口金に対応したLED電球に比べて寿命が短い製品が多い。これは、サイズの小ささからくる放熱の問題によるもので、同社の製品においても、従来は、E26口金に対応するタイプは設計寿命4万時間、E17口金に対応するタイプは設計寿命2万5,000時間となっていた。それに対して、今回発表されたE17口金に対応する機種は、すべて設計寿命4万時間を達成(小型電球タイプだけでなくシャンデリア電球タイプも)。これは、発熱量を抑えたLEDデバイスの採用と電源回路の改良によるものとのことだ。DL-JA51N/JA42Lはミニクリプトン球からの置き換えを想定している製品で、縦方向がミニクリプトン球よりも1mm長いけで、ほぼ同サイズを実現している。また、発熱量が低いため、密閉器具で使用することも可能だ。

「DL-JA51N」に採用されているLEDデバイス。発光面積の拡大により明るさがアップしているだけでなく、発熱量も抑えられている

電源を含む回路部分。回路部品の簡素化が計られている

光拡散レンズを加えることで、広範囲を照らすシャンデリア電球タイプ

シャンデリア電球タイプは、クリアカバーを採用する「DL-JC2BL」と乳白色のカバーを採用する「DL-JF2BL」の2機種をラインナップ。明るさは、DL-JC2BLが230lmで、DL-JF2BLが240lm。いずれも小型白熱電球25W相当となる。両機種とも、家庭内の照明というよりも、レストランやホール、商業施設などの照明をおもな用途とする製品だ。シャンデリア電球は、もともと、ロウソクの炎をイメージした電球なので、上向きに取り付けられるケースが多い。LED電球は、その性質から、光は一方向にのみ発せられる。つまり、通常のLED電球をシャンデリアに取り付けると、天井ばかり照らしてしまうことになる。クリアタイプのカバーを採用するDL-JC2BLは、光拡散レンズを採用することで、この問題を解決。光拡散レンズは、LEDの光を白熱電球のように自然に拡げるためのもので、これにより、天井方向だけでなく、全体を照らすことが可能になった。また、光の反射により、煌めき感も生み出しており、電球が露出するタイプの器具にも、違和感なく使用することができる。

光拡散レンズを採用することで、電球に近い光の広がりを実現する、シャンデリア電球型の「DL-JC2BL」

LED電球内に設置されている光拡散レンズ

軽量化により、多灯化にも対応可能になった一般電球タイプ

一般電球タイプは、軽量化とスリム化が大きなポイントとなる製品で、「DL-LA41N」(昼白色相当)「DL-LA32L」(電球色相当)の2機種をラインナップする。質量は、従来の168gから、約1/2の85gにまで低減。85gという質量は、電球型蛍光灯とほぼ同じで、これにより、複数の白熱電球を使用する器具などに、使用できるケースが広がった(器具によっては使用できないケースもある)。軽量化の大きな要因となっているのがヒートシンクの改良。従来のヒートシンクはアルミダイキャストで作られていたが、新モデルでは、これをプレス加工に変更。プレス加工は、缶ビールの缶の加工に使用されている技術を応用したものとのことで、厚さは0.5mmとなっている。また、電球の根元部分を絞ることで、器具への適用範囲も広がった。DL-LA41Nは全光束485lmで、直下の明るさは白熱電球60W形相当、DL-LA32Lは全光束380lmで、直下の明るさは白熱電球40W相当となっている。

従来の約1/2の85gという質量を実現した一般電球タイプ

ヒートシンクを、アルミダイキャストからプレス整形にすることで、軽量化を実現