富士通は7月9日、2010年度の経営方針説明会を開催。同社山本社長は「既存のビジネスを守るだけでは生き残っていけない」という危機感のもと、クラウド関連への投資やグローバル化を中心とした"攻め"の構造改革と成長シナリオの実現に向けて取り組む姿勢を示した。

富士通 代表取締役社長 山本正已氏

冒頭で山本社長は、世界経済については北米経済の先行き不透明感や欧州のソブリンリスクといった懸念材料は多いとしながらも、中国を中心とした新興国がICT市場を牽引していると説明。国内についても企業のIT投資が本格化する兆しを見せているといった背景を踏まえ、「今はまさに"守り"から"攻め"への絶好のチャンス」と語り、「攻めの構造改革(本業収益力強化/クラウド関連ビジネスの立ち上げ加速)」「攻めの成長シナリオ(グローバル化の加速/新たなサービスビジネスの創造)」に対して全社をあげて取り組むとした。

2010年度の同社の営業利益目標は1850億円。営業利益率は3.9%となるが、山本社長は「慎重な判断のもとでの数値だが、社内的にはさらに上を目指した数値を掲げている」とし、「2010年度は増収・増益基調の確立」を目標とすることをあらためて示した。

2010年度は「増収・増益」基調を目指す

なかでも「成長への戦略投資」の最重要項目として掲げられているのがクラウド関連ビジネス。2010年度はこの分野に対する投資額が1000億円となり、社内においてクラウド関連のスペシャリストを、2011年度末までに5000名育成する。

山本社長は、「投資額としては大規模になるが、中長期的な成長のカギはクラウドにある」と強調。調査会社などによる市場予測では「2015年には業界全体の売上のうち、クラウド関連ビジネスが20%を占めるようになる」とされているが、同社としてもこれを「正しい」と判断した上での「相応の投資」である考えを示した。

2010年度のクラウド関連ビジネスへの投資額は1000億円

また山本社長は今回の説明会において、これまで「37.5%」とされていた同社の海外売上比率を40%台にまで引き上げると説明。カギを握るのは、やはり中国であり、「クラウドビジネス戦略の一環として、中国国内の異業種や中国政府との協調を進める」(同氏)などし、新ビジネスの開拓も進める。また、「日本発」の共通ソリューションをベースに、中国のみならずインドやブラジルといった成長市場におけるビジネス展開も加速する。

2海外売上比率の目標値を40%台にまで引き上げる

同社が"攻め"に転じるベースとなっているのが、潤沢なフリーキャッシュフロー(FCF)。2009年度のFCFは2964億円で、今年度は「事業の重点をテクノロジーソリューションにシフトしたことによる開発費用の増加」によって1500億円と減少を見込むものの、山本社長は「実質的に無借金経営」となっている同社の財務体質について説明。「このような潤沢な資金をどのように使うかということも社長としての責務」とし、「M&Aも構造改革の1つである」という考えのもと、企業買収も視野に入れた戦略投資を行う意向を明らかにした。

2010年度のフリーキャッシュフローは1500億円(予測)