ウォール街株価指数

先月までのリスク回避が幻のように消えて、あらたな局面を迎えている。欧州の金融システム不安後退と、堅調な小売売上の伸びにより米景気回復への期待感が再び強まっているためだ。IMF(国際通貨基金)は米不動産市場へリスクを指摘する等、不安要因は依然として存在する。

しかし、投資家のリスク許容度が急速に拡大する中、こういったネガティブ材料には反応しにくい状況となっている。

敢えて上値を抑える要因を挙げれば、週末で積極的にリスク資産を増やすタイミングではないこと、来週月曜日のより、米アルミ大手アルコア(AA.N)といったメジャー企業の決算発表が本格化することか。これらを材料にどの程度利益確定売りで上値が抑えられるかが、今晩の米株の動向を占う上でのポイントになる可能性がある。

日足ベースにフィボナッチをあてはめてみると、50%戻しは10082、61.80%戻しが10203となっている。現状、50.00%戻しとボリンジャーバンドの中心線を抜けているので、更に上値追い展開となる可能性を示唆している。61.80%レベルで一度上値が抑えられるか注目。

一方、MACDもゴールデンクロス後と、若干の調整はありそうだが、バイアスはやはりロングと考えられる。しかし、61.80%レベルで十字線が出るようなら、それ以上の上値追いはリスクを伴うが、抜ければ10600レベルまで真空地帯となっている。このため10200付近の攻防に注視したい。

ウォール街株価指数 日足

ウォール街株価指数 RSI & MACD 日足

NY原油先物8月限

6月下旬以降、各主要経済指標の悪化を材料に、「ダブルボトム」を形成する形でリスクを吸収し、商品相場は全面安の展開になっていた。

しかし、ここにきて国際通貨基金(IMF)は、米国経済に関する年次審査報告書の概要を発表し、2010年の米国内総生産(GDP)は3.3%増、2011年は 2.9%増と上方修正した。これに加え、米新規失業保険申請件数の強い内容や小売売上ペースが速まっていることを理由に、投機資金がリスク市場に急速に戻りつつある。

リスクテイク基調が戻りつつある中、原油相場は70ドル水準がボトム圏であることを再確認した後、再び75ドルの節目を突破する展開となっている。

景気の見通しに関しては、両手を挙げて楽観視することは出来ないが、ネガティブな環境下にもかかわらず70ドルを維持したことで、75~80ドルの価格水準に対して違和感が無くなっている点に注目したい。

一方、需給関係で見ると、米エネルギー情報局(EIA)の7月2日までの1週間の米石油在庫統計によれば、原油在庫は先週に比べ500万バレル減少となり、市場予想の260万バレル減少を大きく上回る取り崩しとなった。また、2010年の世界石油需要見通しを上方修正したことも、原油相場の支援材料となった。

最後にチャートを見ると、行き過ぎた悲観ムードによって形成された安値が是正される流れになっている。ボリンジャーバンドを見ると、中心ラインに触れてきており、続伸するようなら6月28日の79ドルを再び狙ってくるか注目したい。

NY原油先物8月限 日足