雑誌『+DESIGNING』、雑誌『Web Designing』、『マイコミジャーナル』の3媒体が、様々なジャンルのクリエイターたちを100人連続で紹介していく新企画。第30回は、レベルQの代表取締役を務める、クリエイティブディレクター・田中宣匡が登場。

田中宣匡プロフィール

レベルQ代表取締役。学生時代に地方でWebデザイン制作の個人事業を開始し、全国各地から案件を受注する。印刷会社、グラフィックデザイン会社などで多くの企画・デザイン業務に携わるなか、Web新規事業部発足やWeb推進プロジェクトなどを担当。2003年に自身の個人メディアサイトにて求職活動をし、数十社からオファーが入り単身上京。Webデザイン制作会社にてナショナルクライアントなどの企画・デザイン・ブランディングなどのプロジェクトを推進。2007年に企画・デザイン・ラボに特化したレベルQを設立。プランニング、アートディレクション、デザインなどの業務にも従事する。

Q&A

――この仕事に就こうと思った年齢ときっかけは?

田中宣匡(以下、田中)「1997、8年頃に、インターネットと僕自身の個人メディアサイトを通じて、人と人とが時間・空間を超えて繋がる感覚と、コンテンツを双方向で作っていくスピード感、そして予測不能感を体感し、Webの可能性を実感した時。そして、その時には既に仕事をしていました」

――これまでで一番思い入れのある仕事は?その理由や思い出を教えてください。

田中「毎年がハリケーンなので、どの仕事も思い入れがありますが、ピックアップするなら2009年夏にワンパクとコラボをした『SUICUP2009 by 東京スイカ研究会』です。『SUICUP2009 by 東京スイカ研究会』は、丸ごとのスイカをコミュニケーションフードと位置づけ、研究しました。スイカの歴史を学ぶためのワークショップであったり、"スイカの種の個数は決まっている"という噂を検証するために種を数えたり、水分が多いスイカを活かしたレシピを考えて実際に作ってみたり、スイカの収穫を実際に山形県に行ってお手伝いしたり、スイカ割りは本当にスイカでないといけないのか他の果物や野菜を割って検証したり。バカバカしいけど、真面目にやってみるとスイカのいろんなことが見えてきました。また、研究の最終段階として、"スイカ割りもコミュニケーションがなければ成り立たないよね?"ということで、オンラインゲームも作りました。ただし、普通のオンラインゲームではなく、画面の向こうには本物のグラビアアイドル(生身の人間)がいて、Webというネットワークを介して彼女をリアルタイムに操作する、というゲームです。人間と人間とが、リアルタイムにコミュニケーションをとってこそ初めて成立するオンラインゲームであり、コミュニケーションを大事にした人肌を感じられるコンテンツを生み出しました。このプロジェクトに携わったのは、"人間味やリアルを大切しつつ、Webというツールを活用する"という気持ちを共有できたメンバーです。誰ひとり欠けても実現できなかったプロジェクトだと、やり終えた時に思いました。また、有能でユーモラスなメンバーと一緒に何かを作ることの気持ちよさも感じました」

SUICUP2009 by 東京スイカ研究会
制作:レベルQ(自社サービス)・ワンパク / Pl:田中宣匡

――この仕事を辞めようと思ったことはありますか?また、そのきっかけは何ですか?

田中「ないです」

――これから取り組んでみたいこと、関わってみたい仕事は何ですか?

田中「物販と飲食と子供関連の事業です。子供へ提供する事業ではありませんが、子供からオトナが学ぶ、子供心にひっかけた新しいプロジェクト『オトナコドモラボ』を公開しました。あとは、個人が個人を捨てなくても良い、伸び伸びとした活動ができる仕事の創出と、引き続き、黄金体験ビジネスモデルの創出です」

――愛用している、思い入れのある道具や本、ものを教えてください。

田中「もう手元にないですが、ファミコンと5、6回買い揃えてる漫画『ジョジョの奇妙な冒険』かな。ファミコンは、"詰め込みたいことはいっぱいあるけど、8bitの限界がある。だからこそ考え抜き、極限まで工夫をして、たくさんの想いをゲームに込める"というゲーム開発者の熱い思いが、商品に出ていた時代だったような気がします。Webでいうと、blogが出てくる前にも同じような匂いを感じました。HTMLというコードを覚えてまで何かを発信するんだ、という思いの丈が」


――尊敬している人を教えてください。
田中「岡本太郎、荒木飛呂彦、デビッド・ラシャペル、サルバドーレ・ダリですかね。尊敬する人というと、歴史上の人物や偉業をなした人物になりがちですが、身近にいる方でも尊敬してやまない方が多いです」

――アイデアを練る場所、時間などを教えてください。

田中「場所と時間ではありませんが、アプローチ方法として"既成概念、先入観をOFFにする"という方法をとります。それと、"ヒトにしゃべる"という行為から自己分析をして、自分の脳みそを引き出しの中も含めて整理します」

――1カ月で仕事をしない日は何日ありますか?

田中「ほとんどの月で1日もないです」

――理想的なオフの過ごし方は?

田中「オンやオフの概念がなくなるような働き方と、オフの過ごし方をしたい。といっても"仕事人間""趣味仕事"というニュアンスではなく、"労働をなくす"的なイメージです」

――趣味やコレクションなど、いま、個人的にハマっていることを教えてください。

田中「レベルQのミッションである、黄金体験プロジェクトの思案ですかね。あと、パンダです。癒しキャラクターとか全然興味なかった20代半ばの時に突然思い立って、"そうだ、京都へいこう"改め"そうだ、パンダを触りにいこう"というノリで中国四川省の山奥に行き、16頭の子パンダにもみくしゃにされながらも戯れました。それからパンダ中毒になってます。子パンダでも鼻息は案外荒いです、フゴー」

――お酒を飲みますか?週何日、どのくらいの量を飲みますか?

田中「不定期ですが、よく飲みに行きます。しかし、周りにお酒をガブ飲みする方があまりおらず、僕は飲む方と一緒のペースで一緒に楽しみたいので、あまり飲まなくなってますね。20代前半は、焼酎はカロリー低いからと、水のようにガブ飲みしていました…」

――同業でよく飲みにいく、食事をする人は誰ですか?

田中「固定の方と頻繁にということはあまりなくて、バラバラです。いろいろな方と出会えることが本当に楽しみです。あと、同業の方でなくても飲みによく行きます」

作品紹介

左:おごるTV
制作:レベルQ(自社サービス) / P:田中宣匡
右:東京スター銀行 やさしい外貨預金
CL:東京スター銀行 / CD、D:田中宣匡