欧州50種株価指数

G20後の動向に注目が集まった週明けの欧州株式市場だが、現状はリスク回避が基調となるも、値ごろ感の出てきた銘柄を中心に買いが先行する場面も見られたため、欧州50種株価指数は2,600ポイント台で底堅い展開となっている。

今週は欧州各国の国債入札が控えており、昨日はイタリア国債が低調だったことから為替市場でリスク回避のユーロ売りとなったが、欧州50種への影響は見られなかった。

しかし、明後日はスペイン国債の入札が控えている。こちらは何度もマーケットの注目を集めており、同日にはECB(欧州中銀)の1年物オペが期日を迎え、約1,000億ユーロ以上の資金が不足する懸念も出ている。その結果如何で、トレンドがある程度つかめそうだが、その前に様々な憶測により動く可能性もある。実際、欧州金融機関への懸念が本日は台頭しており、これがどの程度影響するかが焦点となりそうだ。

テクニカルで見ると、レジスタンスラインをブレイク後、再び心理的水準3000ポイントを目指すと思われたが、90日MAがレジスタンスラインとして意識され反落した。

しかし、その一方では、25日MAが先週後半よりサポートラインとして意識され、財政問題が不透明感を増す中、欧州50種を下支えしている。

現在の状況は、後者の25日MAでサポートされ反転する可能性がある。なぜなら、その下にはフィボナッチ61.80%レベルもサポートポイントとして意識されているからである。仮にこのままショートカバーの展開が継続した場合、第一の上値ポイントは半値戻しの2700ラインレベル。ここを突破するようなら、90日MAが次のターゲットとして浮上するだろう。

逆に下降トレンドが強まるようなら、61.80%レベルはもちろんだが、短期サポートラインまで下落するかが焦点として浮上しそうだ。

欧州50種株価指数 日足

スポット金

取引序盤は、欧州タイムの強い地合い引き継ぎ、一時は1262.80ドルまで値を上げた。しかし、新高値(1265.30ドル)を更新することが出来なかったことから、NYタイムは利喰い売り優勢へと転じた。原油安・ドル高も弱材料となり、また1250ドルの節目にはまとまったストップロスがあり、それをも巻き込み急落したかたちとなった。

先週末の20カ国・地域首脳会議(G20)では、財政赤字削減の目標設定を支持し、債務危機の再発を強く牽制する内容となった。しかし、財政赤字削減と景気回復を持続させる取り組みは各国で異なり、それ故各国の個別の情勢に応じて調整スピードも異なってくることから、結局は玉虫色の表現にせざるを得ない印象だった。

欧州株式市場ではこの合意に関し、最低限の評価はしているものの、金市場のリスク回避の動きに歯止めを掛けるには至っていないのが現状だ。

こうした中、金相場は前日比15.20ドル安の急落となったが、これは通常のポジション調整の範囲内と考えられる。なぜなら、下落幅は確かに大きかったが、下落率に換算すると1.2%程度であり、特にパニック売りの様相ではないからだ。確かに、取組高が高水準に達していることで振るい落とし的な売り圧力は強まり易い状況だが、価格水準が切り上がっていることを考慮すれば、特に驚くことではないと思われる。

実際、「SPDR Gold Shares」の信託総純資産価値は前日と変らず、過去最高(1316.17トン)を維持している。月初(1268.23トン)からの累計では、数量で47.94トン、金額では約20億ドルに達しており、金市場に対する資金流入傾向に変化は見られない。短期的な値動きに関わらず、金市場におけるポジションを拡大する動きは継続中といったところか。

また、人民元相場の上昇で、元建て金相場に割安感が浮上していることもあり、ここから下の価格水準では、中国中心のアジア勢など現物筋の買い支えも予測され、長期間安値圏に停滞するような相場環境には無いとは考えている。

スポット金