FH550/3AMのもう1つの3D機能である「作成」は、適切な設定をするのが難しい。設定画面ではどこに焦点を合わせて撮影したいのかを決めることができるが、鑑賞位置を決めるのが難しいのだ。4つ表示されるマークの見え方で鑑賞位置を決定できるものの、それがどの辺りなのかのヒントがないため、画面前でウロウロすることになる。例えば「画面から2m程度の位置が適切です」というようなヒントを表示してほしかった。また、設定画面と撮影画面は完全に分かれており、3D撮影の様子を見ながらレバーで調整というようなことはできず、何度もやり直しが必要になる。前景と背景の両方にピントを合わせるのも難しい。

設定では左右片方ずつの映像確認の後、上下左右のブレ幅調整を行う。最後に3Dメガネをかけて視聴位置を調整するが、視聴具合を確認しながらのブレ幅設定などはできない

実際の3D撮影ではブレた状態で映像が表示される。動画、静止画の撮影が可能で、効果やフレームも追加できる

設定面ではかなり手こずらされるのだが、うまくいった時には「飛び出し」感が味わえる。今回のテストでは、画面から飛び出しているというより画面表面に盛り上がっている程度ではあったが、それでも、普段見慣れている身の回りのものや自分の顔が3D化されているというのは不思議で面白い。一般的なビデオカメラやデジタルカメラでの撮影・視聴とはひと味違う感覚で、非常に新鮮だ。FH550/3AMを触る機会があるなら、ぜひ体験してほしい。

3Dソースの再生、2Dからの変換、3D撮影という3つの機能を体験してみて感じたのは、3Dの面白さはソース次第だということだ。例えば、話題となった「アバター」はまだ3D版が発売されていないが、FH550/3AMの変換機能を利用すればすぐにでも自宅で3D化して楽しめる。また現在の2D用に作られた一般的な作品は、左右への動きはあっても手前と奥を利用した動きが少なく醍醐味が薄くなってしまうため、FH550/3AMの3D機能をフルに活かせるものがほしくなる。3Dに特化した映像が本格的に供給され始めれば、それらをいち早く楽しむPCとして活躍してくれそうだ。また、FH550/3AMならではの撮影機能の強化にも期待したい。

■試用機の仕様
製品名 FMV-ESPRIMO FH550/3AM
CPU Intel(R) Core(TM)i3-350M Processor(2.26GHz)
チップセット Mobile Intel(R) HM55 Express Chipset
メモリ 4GB(最大8GB)
HDD 1TB
光学ドライブ Blu-ray Discドライブ(スーパーマルチドライブ機能対応)
グラフィックス Intel(R) HD Graphics(CPU内蔵)
ディスプレイ 3D対応高輝度20型ワイド スーパーファインVX液晶(1,920×1,080/フルHD)
TV機能 地上デジタル放送ハイビジョンTVチューナー×2(ダブル録画、ダビング10対応)
オーディオ ステレオスピーカー、マイク・ラインイン兼用端子、ヘッドホン・ラインアウト兼用端子、High Definition Audio
ネットワーク IEEE 802.11b/g/n対応無線LAN、10/100/1000BASE-T対応有線LAN
インタフェース USB 2.0×5、ダイレクト・メモリースロット(SDメモリカード/メモリースティック対応)
サイズ/重量 約W497×D198×H391/約10.4kg
OS Windows 7 Home Premium(32/64bit)
ソフトウェア Microsoft Office Home and Business 2010、ノートン・インターネットセキュリティ 2010 90日体験版、Fujitsu PowerDVD9 3D Player 他
直販価格 199,800円(富士通WEB MART/2010年6月現在)