京成電鉄は23日、7月17日から運行を開始する「新スカイライナー」の試乗会を実施した。同列車は新路線「成田スカイアクセス」を経由。車両と線路の最新技術を結集し、在来線規格では最高速の時速160kmで走行する。帰路は京成電鉄代表取締役社長の花田力氏と千葉県知事の森田健作氏が同乗し、「成田は近い」とアピールした。

京成上野駅から出発する新スカイライナー

森田県知事も駆けつけた

乗ってわかったスピードと心地よさ

車両の詳細は既報の通りなので、今回は乗車した所感を中心にレポートしよう。まず、上野駅の発車は実にスムーズ。ガクンと揺れることなく、滑らかに走り出した。京成上野 - 日暮里間は急カーブが連続しているが、左右の揺れも少ない。先頭車両にフルアクティブサスペンションを採用したため、車体が受ける揺れが先頭車で吸収され、後方車両には波及しないということらしい。ポイントを通過するときの衝撃も、注意していなければ気づかないほど小さい。

乗降口のポールも青く輝く

身長168cmの筆者が自然に足を置いたところ。広々

エアコンの吹き出し口。赤丸部分のつまみをスライドさせると閉じる

発車から3分後、日暮里駅に停車。新スカイライナーの導入にあたり、リニューアルされた駅だ。今回は報道向け試乗列車のためドア扱いはなし。ホームにいた乗客の何人かが携帯電話で写真を撮っていた。沿線の人々にとっても、新スカイライナーへの期待が高まっているようだ。

試乗列車は試運転の列車を使用したため、実際の新スカイライナーとはダイヤが異なる。新スカイライナーは日暮里を発車すると空港第2ビルまでノンストップで36分。試乗列車は営業列車を優先させるため、千住大橋、新鎌ヶ谷、印旛日本医大駅に停車して時間調整した。しかしそのおかげで、各駅で停車と発車の動作を確認できた。いずれも静かで滑らかだ。僅か36分とはいえ、ゆったりとくつろげる。

客室内モニターは日・英・韓・中の停車駅案内のほか、ナビゲーションや運転台展望を映し出す

京成高砂までは従来のスカイライナーと同様の走り。京成高砂からはいよいよ京成本線を離れ、北総鉄道に進入する。北総鉄道の京成高砂 - 印旛日本医大間と、新規に建設された成田高速鉄道、新たに京成線用の線路が敷設された成田空港高速鉄道を総じて「成田スカイアクセス」と呼ぶ。これが新スカイライナーの新ルートだ。東京湾側へ迂回し、小さな曲線が続いた従来ルートに比べて、走行距離は数km短い。たった数kmではあるけれど、直線的なルートと高規格な線路のおかげで、所要時間は15分も短縮できた。

大きな窓からの沿線風景も楽しみのひとつ。都内ではスカイツリー(左)、北総線内では新京成電鉄の車庫(中)、新規開業区間は印旛沼(右)が見える。

北総鉄道区間に入った列車はスルスルとスピードを上げていく。この加速も穏やかで、背中に感じる重力はごく僅かだ。北総鉄道区間は線路や駅設備の改良により、時速130kmで運行可能になっている。車内放送が「いま時速130km」と告げた。車内が静かなことと線路脇に建物がないため、高速感がない。iPhoneでGPS計測から速度を計測するツール「HUD ManiaX」では時速130kmを超えた。GPS計測なので誤差もあるとはいえ、つくばエクスプレスと並ぶ首都圏在来線規格の最高速度である。もっとも、京成線の線路の幅は新幹線と同じ1,435mmだから、さらに安定していると言えよう。

北総線内で時速130km

新線区間で時速160kmを達成(配付資料より)