東京で生活しているとなかなか感じにくいが、地方の産業空洞化という問題は、少子高齢化と同じくらい、国として深刻な問題のような気がする。働く場所がなければ人は集まらない。そしてますます地方から人が出て行ってしまうという、負のスパイラルが繰り返されることになる。逆に言えば、大きな会社や組織が地方にできるということは、そこに住む人たちにとって感極まりない出来事になる。今回はそんな地方の切なる声がPVに反映されたともいえる結果となった。

それでは6月18日(金)から6月24日(木)までの経営チャンネルベスト10記事を見ていきたい。

1位 さくらインターネット、石狩市に国内最大級のデータセンターを建設 6月22日
2位 2010年転職したい企業ランキングトップはトヨタ自動車を抑えあの企業 6月22日
3位 Brightcove、動画配信ソリューションをiPhone/iPad/Androidにまで拡大 6月23日
4位 国土交通省、高速道路無料化社会実験の対象37路線を発表 2月2日
5位 NEC、ホテル業向け総合ソリューションを発表 - クラウドベースでコスト削減 6月24日
6位 KDDI、Androidなどを利用した個人向け情報提供システムを開発 6月24日
7位 シマンテック、ストレージ管理製品で富士通との協業を強化 6月24日
8位 iPad購入でゲームの利用時間が減った人は約3割 - マクロミル調べ 6月22日
9位 高速道路無料化社会実験が28日0:00に開始、九州の2区間が追加に 6月15日
10位 ANAが新チェックインサービス開始、搭乗券印刷までPCで可能に 6月18日

寒い場所に冷気が必要なデータセンターを構築することは、今の時代、理にかなっている。だから北海道にデータセンターができてもとくに不思議ではないのだが、今週1位の記事となったさくらインターネットのデータセンターは、北海道の人びとにとってはただのデータセンターを超える存在として映ったようだ。広大な敷地に立つ最先端の巨大データセンター、その姿を思い浮かべるだけで"胸が熱くなる"とのコメントも。その強い思いがアクセスに投影され、経営チャンネルではダントツの1位、マイコミジャーナル全体でもベスト10以内に入るPV数を稼いだ。人に夢を与える北の大地のデータセンター、なんだかいい響きではないですか。

2位となったのは、20代から30代半ばの若い世代が転職したい企業の調査記事。ソニー、トヨタという昔からの定番企業を抑え、トップに輝いたのはグーグル。そのほかにもアップルやファーストリテイリングが大きく順位を伸ばしているところに時代が変わったことを感じさせる。昨年の12位から大幅に順位を落とし50位のJAL、「まだ50位に入っているのか!」という声もあり。

スマートフォンやタッチ端末など、モバイルプラットフォーム市場のヒートアップとともに、注目をあつめているのがモバイル動画の配信だ。3位につけたブライトコーブの動画配信技術は、iPhone/iPad、Android端末といった今話題の端末でも動作するソリューションをもつ。Flash対応/非対応に分けた技術を提供している点も興味深い。コンシューマだけでなく、ようやくエンタープライズ分野でも動画配信が本格化しそうな気配だ。なお、iPhone、iPad、Androidというキーワードは、経営チャンネルでも引きが強く、6位と8位の記事もその関連ニュースだ。

2月に記事をアップして以来、あいかわらず毎日多くのアクセスがあるのが4位の高速道路無料化実験の記事だ。先週1位の28日実験開始の記事も8位にランクイン。ビジネスパーソンにとって交通機関のニュースは公私ともに重要な話題であるため、やはり人気が高い。今回は高速道路関連記事のほかにANAの新チェックインサービス記事が10位に入っている。

ここ最近、上位と下位の記事の間に大きく差が付くことが多いが、今回は1位>>2位>>>>>3位以下という、上位2記事のPV独占状態となった。また、ベスト10入りした記事がニュースだけで、レポートやコラムがランクインしなかったというすこしさびしい結果に。なかなかバランス良くはいかないものである。