――『デカレンジャー』前が多いということでしたが、『デカレンジャー』を境に曲作りに変化はありましたか?

YOFFY「『デカレンジャー』で、特撮の世界、戦隊にどっぷりとつかりましたからね。4曲目の『デカレンジャーアクション』と17曲目の『デカレンジャーアクション (アコースティックバージョン)』を聴くと、いかに当時、思い入れたっぷりで戦隊に突っ走っていたかをすごく思い出します。『アコースティックバージョン』なんか、頼まれもしていないのに、勝手に作りましたからね(笑)。それで、『デカレンジャー』のソングコレクションに入れてもらったんですけど、番組の中では使われていないんですよ」

――ソングコレクションのために作ったわけではないんですね

YOFFY「『デカレンジャーアクション』は、戦隊ナンバーの中で、初めて作詞・作曲をやらせてもらった曲だったので、すごくやりがいを感じていたんですね。正確にはわかりませんが、その当時の戦隊ソングで、アーティストが歌も詩も曲も作るというのはあまりなかったと思うんですよ」

――当時だと珍しいかもしれませんね

YOFFY「そういった状況だったのに、なぜか任せてくれるような雰囲気があったんですよ。『デカレンジャー』とともにサイキックラバーも頑張れよ、みたいな」

IMAJO「そのころから戦隊シリーズの曲自体も変わってきたような気がするんですよね。トランペットを入れた劇伴風のものではなく、ロックテイストっぽいサウンドになってきた時代で、ちょうどそれにうまくマッチしたんじゃないかなと思います」

――現在放送中の『天装戦隊ゴセイジャー』の主題歌では、YOFFYさんが作曲を担当なさっていますが、自分で歌う場合と、クリエイターとして関わる場合で、何かちがいはありますか?

YOFFY「曲を作るときは、あまり意識しないですね。『ゴセイジャー』は曲の提供だけですが、実は『シンケンジャー』も曲を提供するだけで、自分が歌うとは思っていなかったんですよ。僕にとっては、歌だけ歌ってくださいというほうが難しく感じますね」

――歌だけというパターンはあまり多くないですよね

YOFFY「多くないだけに、『一貫献上! シンケンゴールド』とか『シャイニング マジック マジシャイン』、こちらは詞だけは書かせてもらっていますが、そういう関わり方のときは、全然自分の中にないメロディなので、最初はちょっと戸惑っちゃいますね」

――ちなみに戦隊ソングとはこうあるべきといった意識はありますか?

YOFFY「僕はどちらかというと、戦隊とはこうあるべきだというものを壊さなければいけない世代だと思っているんですよ。たぶんそこには賛否両論があって、『シンケンジャー』のときも、展開が激しくて、どこがサビだかわからない、みたいなことをたまに言われたりもしたんですけど(笑)。自分なりの戦隊観として、朝7時30分に聴きたい音楽というところは意識するのですが、あまり伝統といったものは意識しないですね」

――あまり戦隊ソングだからと意識することはないということですね

YOFFY「ただ、『○○ジャー』というのをどういったメロディで締めくくろうか、といったところだけは意識しますね(笑)。あと、三段落ちじゃないですけど、『××戦隊』『○○ジャー』と来て、最後を"なんとか"で締めるかどうかぐらいですね。そこは戦隊ソングの不変のフォーマットというか、宿命なので、そこは意識して考えます」

――さすがにそこは壊せないですよね

YOFFY「それは無理ですね(笑)。エンディング曲ならできますけど」

――最近では、タイトルが歌詞に入らないアニメの主題歌も増えていますが、やはり戦隊ソングとなると、そこだけは守っておきたいところですよね

YOFFY「実は、サイキックラバーは、『トランスフォーマー』でデビューしたときに、それをあえてやるユニットであり、あえてやることをポリシーに掲げていたんですよ。当時は、アニサマなども始まる前でしたし、今よりもまだ少し、アニソンに対して風当たりが強い感じだったんですけど、そんな中であえてやるぞ! みたいなところもあったので、比較的タイトルを叫んでいるほうだと思いますよ。最近はまた少しちがうかもしれませんが、デビューしてから5、6年ぐらいは、『タイトル叫ぶべし!』みたいなところがありましたね」

――少し微妙なところもあったりしますが、やはりアニメソング、特に特撮ソングは子ども向けというところがあります。そのあたりで意識するところはありますか?

IMAJO「子どもは基本的に先入観がないので、来たものを全部受け止めるじゃないですか。難しかろうが、簡単だろうが」

YOFFY「逆に頭の固い大人のほうがリミッターをかけている気がしますね。これは子どもにはわかんないだろう、みたいな」

IMAJO「そうそう、そうだね」

YOFFY「実際、『シンケンジャー』のときもすごく不安だったんですよ。子どもが、このテンポ感と転調についてきてくれるかなって」

――子どもは歌詞がわからなくてもノリで行っちゃいますよね

YOFFY「『パイナップル~、キンキラリン♪』って歌っていましたね(笑)」

――そういう意味ではあまり子ども向けということはあまり意識しないですか?

YOFFY「そうですね。でも、"わかりやすさ"というところは意識しています。ライブハウスで活動していたときは、ライブを観た人が帰りに口ずさんでくれるということを意識していたんですけど、今は、テレビに流れる90秒間で覚えられるメロディ、ということを意識していますね」

IMAJO「アニソンとか特撮に限らないと思うのですが、やはり子どものころに覚えた曲って忘れないと思うんですよね。絶対にどこかに貼りついている。そういう点でも覚えやすい曲というのは、重要だと思っています」

(次ページへ続く)