アドビの期間限定ギャラリー「station 5」にて、全国の美術系の学生に向けたセミナー『アドビ×美ナビ presents 実践! 作品を「活かす」ポートフォリオ Fine art編』が開催された。イベントでは、美術系学生の就職活動時に必要な「ポートフォリオ」の作り方が紹介された。セミナーには、美大生のためのフリーペーパー「パートナー」の出版・発行を行っているモーフィングの取締役 中川恭志氏と、アドビ システムズ 教育マーケット営業部 宮岸尉子氏が登場した。

モーフィング 取締役 中川恭志氏。フリーペーパー「パートナー」は毎号約3万部を発行している季刊誌

アドビ システムズ 教育マーケット営業部 宮岸尉子氏は、教育機関向けにアドビ製品の紹介を行なっている

中川氏は美術・芸術系学生のための就職サービス「美ナビ」の事業運営も行なっている。本題に入る前に中川氏は、美術系大学生の就職活動の現状や、進路状況について説明した。美術系大学には洋画や工芸、立体、デザイン、ファッションなど、さまざまな科目が存在するが、2010年度の予測就職率は45%程度だと語る。

低い就職率の原因を調査するために学生たちの声を聞いてみると、「3社も受けたけど採用されなかった」、「魅力を感じる会社がない」、「自分は就職に向いていない」などと答える学生が多いそうだ。中川氏は、「日本には200万社以上の企業がある。もっと会社を知るべき。そして、もし就職したくないというのであれば、自力でご飯が食べれるようにならなければならない」と語った。

中川氏が持参した美大生の就職率推移状況の資料。今後ますます厳しくなることが予想されている

中川氏は「7月から1月は誘惑の多い時期だが、とても重要」と語る

美大生のなかにも「ポートフォリオの作り方がわからない」という学生がたまにいるようだ。中川氏は「とりあえず過去の作品をすべてノートにファイリングするとよい」とアドバイスをするという。そして、それを元に自分の能力を見つめ直し、就職活動をすべきであると語った。

ポートフォリオの役割は、企業の採用担当者が就職希望者の感性やスキル、素質などを審査するもの。採用選考の基準となる重要な書類だ。しかし、やみくもに過去の作品をまとめればいいというものではない。面接でのプレゼンテーションや、見る相手のことを考えて、見やすいように作ることが大切。パッと見てすぐわかる内容で、なおかつインパクトのあるポートフォリオが有効だという。

中川氏は、完成したポートフォリオを、家族や友人に見てもらうことを推奨した。また、働きたい業界で活躍している知り合いがいたら、その先輩にアドバイスをもらうことも必要だという。とにかく作ったポートフォリオを恥ずかしがらず、他人に見せることを推奨していた。

中川氏は良いポートフォリオの例として、過去に就職を決めた学生の作品を紹介

イラストから3DCGまで、さまざまな作品が載ったポートフォリオを作成した学生は、ゲーム開発会社に採用された

続報では、実際に就職を内定させた現役美大生が、ポートフォリオ制作について語った様子をレポートする。

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