左からNTTドコモ副社長辻村氏、エブリスタ社長池田氏、DeNA社長南場氏

エブリスタは31日、都内にてNTTドコモ、DeNAと合同記者会見を行った。会見は6月7日にグランドオープンする総合UGCメディア「E★エブリスタ」に関してのもので、サービスの概要説明や質疑応答などが行われた。

同社は4月1日に設立されたNTTドコモとディー・エヌ・エー(DeNA)の合弁会社で、E★エブリスタを運営する。UGCメディアとは、一般ユーザーが小説やイラスト、写真などのコンテンツを投稿し公開することができ、かつ他のユーザーがそれらを閲覧・利用することができるメディアのこと。

はじめに、エブリスタ代表取締役社長の池田純氏からサイトの説明があった。E★エブリスタは無料のUGCと有料の「E★エブリスタプレミアム」からなるサイト。無料で利用できるUGCでは、一般クリエイターが投稿した作品を掲載する。もともとDeNAは「モバゲータウン」を運営してきた会社で、一般クリエイターはモバゲータウンクリエイターコーナーから作品を投稿していた。今後、投稿はE★エブリスタから行われるようになる。なお、既にモバゲータウンに掲載されている80万作品、およびこれから投稿される新規作品は、モバゲータウンとE★エブリスタの両方で閲覧が可能だ。

E★エブリスタは5月17日にサイトをプレオープンし、総額700万円を超える賞金総額の投稿イベントを開始。人気クリエイターには毎月、報酬が支払われるという。その効果もあり、5月31日現在、UGC作品数は108万作品を突破した。

UGC作品数の一層の拡大を目指す取り組み(左)。投稿ジャンルには、コミック/写真/エッセイ・How To/俳句・川柳・短歌の4ジャンルが追加される

毎月、一般読者の投票でクリエイターの人気順位が決まり、クリエイターは報酬として換金可能なポイントを得られる。最高金額は100万円、最低でも3万円とのこと

6月7日には、有料コンテンツのケータイ総合雑誌E★エブリスタプレミアムも創刊される。プレミアムの利用料は月額210円で、小説・コミックなど様々なジャンルで既に活躍している有名クリエイターや有名人、UGCで人気を博したトップクリエイターの作品を揃えるという。オリジナルの書き下ろしコンテンツを約50タイトル用意し、配信される月間のコンテンツ量は紙の書籍や漫画雑誌に換算して500ページの規模を予定。UGCと連動した仕組みも備えた「紙のない初の本格的ケータイ総合雑誌」を目指している。

E★エブリスタプレミアムで読めるのは、エッセイ、小説、コミック、スポーツ、趣味の5ジャンル。情報は毎日、更新される

作品ラインアップは、梁石日「大いなる時を求めて」、みうらじゅん「仏像少年」、江川達也「あああああい先生」、倉田真由美「お天気お兄さん」、VAMPS「VAMPS on the ROAD」、成海璃子×平間至「ナルミカメラ」など

松本零士「幻想新幹線0」は現代版「銀河鉄道999」のようなオリジナルの書き下ろし作品。中田英寿「中田英寿が語るワールドカップ」はW杯の開催期間中、中田が南アフリカから特別レポートをするというもの。動画も合わせて配信される

DeNAの代表取締役社長の南場智子氏は、「これまでクリエイターは、報酬を得られるプロか、そうでないアマチュアかのどちらかしか存在しなかった。しかし実際には、中間層に様々なレベルでプロになりきれないクリエイターが存在している。今回の取り組みは、こういった層の人々を支援するという点で、とても意義深いものがある」と述べた。

また、NTTドコモ代表取締役副社長の辻村清行氏は、「UGCサービスの利用意向を調べてみるとまだ掘り起こせる年齢層がある。今後50代、60代以上の利用者も見込める」との考えを示した。ドコモとしては、ユーザーが隙間時間を利用して安全に利用できるUGCサイトの整備を進めていきたい考えだ。

クリエイター層の人口ピラミッド(左)と、UGCサービスの利用意向

その後、質疑応答の時間となった。目標会員数は、の問いには「向こう1年半を目処に有料会員100万人を目指したい」(池田氏)。また、先に同サイトがグローバル化を目指すという話があった。それに関連した、具体的にどういう国での配信を目指しているのか、の問いには「ドコモでは漫画コンテンツなどをアジアに売り出し始めている。その一環として、将来的に出資先であるインド、フィリピン、台湾などを考えている」(辻村氏)との答えだった。

本サイトは携帯電話の3キャリアに対応しているのか、iPadには対応するか、の問いには「プレミアムについては現在、利用出来るのはドコモのiモードからのみだが、無料のUGCについては3キャリアに対応している。iPadについては、今後検討していきたい」(池田氏)、「プレミアムも、将来的には3キャリアに対応する可能性がある。また、スマートフォンやiPadなどのタブレット型端末にも適応させるかどうか、検討していく必要がある」(辻村氏)とのことだった。