FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。欧州時間序盤までは落ち着いた展開で、ポジション調整と若干のリスクがいの展開。ただ、スペイン大手金融機関の資金繰りに対する話題が出たことで、リスク回避に転換。

米耐久財受注の数値は良かったものの、市場のセンチメントはリスクに対して注目しており、無反応。その後、オーストラリア政府の超過課税を引っ込めるのでは?という記事(のちに市場は内容はあまりないと判断)でAUDとNZDやCADは上下動し、にわかショートカバー後は、あっさりと元の水準に反落し、中国当局のユーロ債報道、スペインの格付け引き下げとリスク回避話題が出てしまっては、堅調だった株式市場も上昇分を吐き出し、NY市場ではマイナス圏に。

・07:45 (NZ)4月貿易収支 +6.56億NZ (市場予想+4.55億NZ)

・08:50 (日)4月貿易統計

・15:40 (米)ブラード・セントルイス地区連銀総裁  講演

・21:30 (米)新規失業保険申請件数

・21:30 (米)第1・四半期GDP -改定値-

・17:00 (米)財務省7年債入札

・N/A (ユーロ圏)5月独消費者物価指数 -速報値-

・N/A OECDフォーラム2010(28日まで)

・N/A ガイトナー米財務長官がトリシェECB総裁、ショイブレ独財務相と会談

生保決算

住友生命 、日本生命 、明治安田 、三井生命 、朝日生命

海外市場の展開を見る限り、流動性・格付けリスクに対してかなり神経質な展開になっている。

昨日のスペイン大手金融機関の市場における資金調達に支障が出てきているという観測で、他の金融機関はどうかと懸念が広まっているほか、スペイン自体の格付けの話題も出てきている。ギリシャだけの話題から、他の南欧諸国に広まっており、EUとしても断固たる姿勢を見せてくると思われるが、具体的な実効性が問われてくるため、コメントだけでは力不足。

さらに、ドイツ当局の空売り規制に関連した各国の協議もどうなるかは分からず、欧州の曇り空の厚みが若干増してきたのではないか。欧州以外では、日米の他に中国も警戒しているが、歴史的にも融資の面でもつながりのある中南米への影響はないのであろうか? 

また、南欧系金融機関の中東欧に対する融資による影響はないのであろうか。 これらの地域は欧州の混乱を横目で見ているが、グローバル経済における融資の連鎖には注意が必要であろう。 

OECDにおいてもドイツとフランスはギリシャに対する負担は消化できる可能性があるが、スペインとポルトガルと広がった場合には、対応がかなり難しくなるという観測を出している。 このことは他の欧州諸国においても同様であろう。

そして、ユーロ圏内だけなら良いのだが、ユーロ域外の金融機関は欧州金融機関向けのクレジットを絞っているために、ロンドンLIBOR金利は前日よりも落ち着いているものの、0.5%を超える水準で推移している。新たな南欧系金融機関やソブリンリスクの話題が出た場合には、さらに上昇する可能性があり、資本市場における動揺は収まる気配がまだみられない。

さらに資本調達が困難な状態になれば、格付け引き下げの話題はさらに現実的になるかもしれない。

また、一国だけの対応では現状の膨大な資本市場の流動性の波にのまれるだけで、ユーロ圏だけではなく、アジア・アメリカ、さらには新興国も含めた協調体制でなければ、効果は薄いと思われる。 各国がそれぞれの立場で対応している間は、ユーロ売り圧力がまだ継続しやすいか。

アジア時間では、引き続き緊張がある朝鮮半島情勢の話題には注意したい。中国は冷静な対応を求めているが、北朝鮮側がはたしてどう動くかは、かなり不透明。現状ではコメントだけにはなっているが、現実的な動きが出た場合には、日本を含むアジア資本市場にとってはさらに上値を抑える要因となることから、NY市場の反落を受けては、本日は下値模索しやすいかもしれない。

経済指標よりは、コメントとリスク関係なので、こまめなチェックが以前よりは必要になろう。

アメリカでは株式市場からの資本流出がかなり大きくなっている現実を考慮すれば、さらに流動性リスクが台頭した場合には、さらなるポジション解消の展開が加速しやすい。 海外勢では本邦で積み上がっているポジションに対しても、市場関係者は警戒しているようだ。

テクニカル的には、ユーロは史上最安値からみた50%付近でどうにか踏みとどまっているが、ユーロ円ではすでに61.8%、2009年の安値をも割り込んでいる。サポートポイントは100円まで主だったポイントがないことから、過熱感解消の短期的な揺り戻しを見ながらも、前述ポイントを回復するまでは戻り売り優勢になりやすいか。

また、ユーロクロス(ユーロ円、EURAUDなど)の過熱感が出ていることから、他の通貨におけるポジション調整圧力がクロスベースで強まる可能性がないだろうか。