米Googleは24日(現地時間)、これまで非公開だったAdSenseにおける広告掲載者との利益分配率について公式発表を行った。これは先日の米連邦取引委員会(FTC)によるGoogleのAdMob買収保留判断にみられるように、規制当局からの監視の目を避け、広告主や広告掲載者に対して透明性をアピールするのが狙いとなる。またiAdでモバイル広告市場に参入してきたAppleが6:4で広告掲載者に利益を還元するとアピールしていることに対抗する狙いもあるとみられる。

Googleによれば、AdSense広告掲載者に対しては広告売上の68%を還元し、サイトごとにカスタマイズされた検索窓を通して表示される検索広告についてはその51%を広告掲載者に還元していると数字の詳細を公開している。同社では2003年のAdSense広告掲載開始以降、この比率にはいっさい手を加えていないという。これまで、これらAdSenseや検索広告における分配比率はGoogleビジネスにおける最大のシークレットファクターの1つだったが、7年の時を経て初めて一般公開されたことになる。

同社がこの方針転換に至った理由について、米Wall Street Journalでは関係者の話として、政府関係者の監視の目が厳しくなってきたことを挙げている。例えば2009年2月、イタリアでGoogle Videoにアップロードされた動画の内容をめぐり、Googleの現地社員が3名逮捕される事件が発生した。イタリアでは首相のシルヴィオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)氏が傘下のメディア各社との競合を理由にGoogleへの厳しい規制に乗り出しており、Googleの秘密主義が1つの攻撃材料になっていた点が指摘されている。同様に欧州各地を中心に世界中でGoogle排除の機運が盛り上がりつつあり、こうした攻撃をかわすのが情報公開の理由の1つとみられる。