これまで非常に大がかりなスタジオや機材が必要であったインターネットを介したライブ中継も、ネットインフラの充実やテクノロジーの進歩により、非常に手軽に行えるようになってきた。また、最近ではソフトバンクによる利用料が無料の専用スタジオ設置などでも話題となっている「Ustream」など、様々なライブストリーミング・サービスが提供されており、企業のみならず個人ユーザーにとっても、より身近な存在として注目が集まっている。そこで、今回はiPhoneを使って簡単にライブ中継を実現できる便利かつ無料のアプリを紹介していこう。

Ustream Live Broadcaster

まず最初に紹介するアプリは「Ustream Live Broadcaster」。本アプリでは、今やネットストリーミングサービスにおける代表的な存在となっている「Ustream」を、だれでも簡単に扱うことができる。アプリの初回起動時には、アカウントの登録もしくは取得済みアカウント情報(ユーザー名/パスワード)の入力が必要となる。アカウントの登録さえ完了してしまえば、あとは通常のビデオを録画する感覚とほとんど変わらない手軽さで、ライブビデオのネット配信が行えるのが嬉しい。

映像の解像度は、Live/localともに「320×240」または「176×144」となる。あらかじめFacebook、YouTube、TwitterなどのIDを登録しておけば、Ustreamとの様々な連携・共有が可能となる

画面下部の「GO LIVE」ボタンをタップして中継を開始する。放送中は、映像や音声によるレポートに加えて、テキストメッセージの送信にも対応している

放送内容は、そのまま録画しておけるので、後から自分のパフォーマンスを見直したり再配信することも可能。なお、Ustreamでは、映像の中継と同時にテキストチャットがリアルタイムに行えるようになっており、それらは連携に必要なIDなどを設定しておけば、自動的にTwitterにも投稿されるようになっているので、放送内容の告知などにも重宝するはずだ。

iPhoneからのライブストリーミングは、コンピュータののWebブラウザから視聴可能。また、ライブ放送の開始時やチャット内容などはTwitterでもできる

TwitCasting Live

次の紹介する「TwitCasting Live」は、最近日本でも急激にユーザーが増加しているTwitterを活用したライブストリーミングアプリ。国内で「あわせて読みたい」、「フィードメーター」、「MyRSS.jp」などのネットサービスを個人向けに展開しているサイドフィード社が開発したアプリで、映像と音声のライブ配信が行えるTwitterクライアントとなっている。ライブ配信された映像(320×180/最大10fps)は、コンピュータやiPhoneのWebブラウザ(twitcasting.tv)から視聴することが可能なだけでなく、Twitterによりリアルタイムにユーザー間のコミュニケーションを実現できる。

TwitCastingを開始すると、標準設定では「モイ! TwitCastingでライブ配信しています」の文言と共に配信元となるURLがツイートされる仕組み。動画配信中もTwitterクライアントとしてタイムラインの閲覧や更新・投稿ができる

また、ライブ配信した動画は、録画としてWebサイト上に保存も可能だ。Twitterのアカウントがあれば、だれでも利用できる手軽さは、ちょっとした時間や日常を共有するにも最適なアプリといえる。

放送終了後は、録画の保存やライブを削除の選択が行える。設定画面でアクセス権の設定を行えば、特定の「合い言葉」を知っているユーザーにのみ、 自分のTwitCastingを限定公開することも可能だ

Live Link 3G J

「Live Link 3G J」は、今年3月の公開以来、面倒なアカウントの登録やサービス設定なども一切不要のライブストリーミングアプリとして話題を呼んでいる。本アプリでは、接続設定に「合い言葉(キーワード)マッチング」方式を採用。起動時に表示されるタイトル画面で、2台のiPhoneで共通の5文字以上のキーワードを入力するだけで、ユーザー同士が1対1で映像/音声のストリーミングを、シンプルかつ双方向に共有することができる。もちろん、Wi-Fiおよび3Gネットワークに対応しており、ライブストリーミングというよりテレビ電話に近い感覚といえる。なお、どちらかがアプリを終了した場合でも、一方のiPhoneが起動していれば再びマッチングが行える。今後は、プッシュ通知やフレンド登録、他プラットフォーム/PCへの対応など様々な新機能の搭載も予定されているとのこと、将来のバージョンアップにも大いに期待したいところだ。(※現在、本アプリはバージョンアップ作業中のため、一時ダウンロード不可となっているが、5月下旬にはダウンロード可能になるとのこと)

Wi-Fiまたは3Gネットワークを使って、2台のiPhone間で映像/音声のストリーミングが簡単に行える。タイトル画面でキーワードを入力するだけの超簡単設定。なお、映像をオフにすれば電話としても使える

これまで紹介した素晴らしいアプリの数々もインターネットへの接続が行えなければ、残念ながらそのポテンシャルをまったく発揮することができない。その点においても、携帯電話であるiPhoneなら、電波の届く範囲内ならいつでもどこでも3G回線により、常にネット接続環境が確保されるため、各アプリとの相性も抜群といえる。iPhoneは、作品自体を作り出すクリエーションツールとしてだけでなく、その作品やイベント、パフォーマンスをリアルタイムの世界中に配信できる必携のライブストリーミングツールとしても、クリエイターに欠かせない強力なパートナーとなってくれることだろう。