130社以上のベンダーが出展

一般に、カンファレンスは最終日が近づくにつれて盛況になっていく傾向が高いが、今回は初日にもかかわらず、展示会場は多くの人で賑わっていた。不況で企業はIT投資を減らしていると言われているが、セキュリティに対する注目度は依然として高いようだ。

今回、出展しているベンダーは130社強。セキュリティ製品の定番であるウイルス対策製品をはじめ、「認証・PKI・暗号化」、「シンクライアント」、「ドキュメントセキュリティ」、「データ復旧・消去」、「検疫ソリューション」、「リモートモバイルアクセス」、「フォレンジック」、「メールセキュリティ」、「UTM」、「運用管理」といった製品の展示が行われていた。

会場を回ってみての感想は、例年以上に、ハードウェアよりもソフトウェアの展示が目立っていたこと。

ウイルス対策製品ベンダーは、マカフィーやトレンドマイクロといった老舗ベンダーに加え、ソフォス、G Data Software、Kaspersky Labs、イーセットといった新興ベンダーも参加していた。

ソフトウェアの中でも特に大きなブースを構えていたのが、「資産管理」、「クライアント管理」、「ログ管理」などが行える統合管理製品を提供しているベンダーだ。

大きなブースを構える運用管理ソフトウェアベンダー

以下、ウイルス対策製品ベンダーからマカフィーを、運用管理製品ベンダーからエムオーテックスを紹介しよう。

ホワイトリストならサポート切れOSの保護も可能

マカフィーの最新の製品は「McAfee Application Control」だ。同製品の特徴はホワイトリストを用いて脅威をブロックする点。

ホワイトリストとは、リストに登録されたアプリケーションのみ利用を可能にし、登録されていないアプリケーションは利用させないようにすることで脅威をブロックする方式だ。登録された脅威やアプリケーションなどをブロックするブラックリスト方式と対比される。

同社では、ウイルスやワームといった脅威が増えるスピードは加速する昨今、ブラックリスト方式では防御しきれないとして、ホワイトリスト方式の利用を勧めている。

ホワイトリストなら、未知の脅威による攻撃、いわゆるゼロデイ攻撃からシステムを守ることが可能だ。加えて、Windows NT/2000といった、マイクロソフトのサポートが切れたOSを保護できるのも、同製品の特徴だ。最近、Windows 2000への対応策として引き合いが増えているそうだ。

また、SaaS型のメール向けセキュリティ対策サービス「McAfee SaaS Email Protection」も参考出展されていた。同社はすでにSaaS型のウイルス対策サービス「McAfee Total Protection Service 」を提供しているが、これにメール対策が加わる格好だ。

McAfee SaaS Email Protectionは、今夏にリリースが予定されている。年内にその他のSaaS型のセキュリティサービスの拡充も計画されており、2011年にはオンプレミス製品とSaaS型製品のハイブリッド型の対策を提供していくという。

「McAfee Application Control」の画面とマカフィーのブース

"情報プッシュ型"で使いやすさを追求

エムオーテックスの主要製品の1つである「Lan Scope Cat6」はネットワーク統合管理ツールだ。同製品は日々行わなければならない運用管理の手間をいかに抑え、簡単にシステム内の脅威を見つけられるかということに工夫が凝らされている。

まず、管理画面が「スケジュール型」になっているのが特徴的だ。この画面に、不審と思われるイベントの数が示される。その詳細が知りたい場合は不審なイベントを示す「!」をクリックすればよい。運用管理担当者がログを検索して、不審なイベントを探す必要がないのだ。

また、オフィスごとにセグメントを切ることができるので、不審なイベントが発生していないオフィスはチェックを省略して、手間を省くことができる。

同製品には、もっと簡単にシステムの状況を把握できるレポートも用意されている。このレポートでは、環境全体・不正接続・メールなどのセキュリティの状況が数値で示され、さらに前日と比較した評価が矢印で提示される。

同社では、運用管理にあまり時間が割けない企業に対しては、矢印が下向き、つまり前日よりも状況が悪化している項目だけ確認するよう、アドバイスしているそうだ。

最新版ではインテルのvProに対応したことで、端末の遠隔操作が可能になった。具体的には、ソフトウェア型の遠隔操作ではできなかったBIOS設定や電源管理まで行える。

同製品はユーザーが必要な情報を探し出すのではなく、ツールがユーザーにとって必要な情報を見つけて提示するというコンセプトが随所に表れていると言えよう。

「Lan Scope Cat6」の画面とエムオーテックスのブース

展示会場では製品の展示のほか、各社が自社のブースで開催している無償セミナーや出展者による製品・技術PRセミナー(こちらも無償)が開催されており、いずれも立ち見がでるほどだった。

興味がある方は、スケジュールを確認のうえ、参加されるとよいだろう。