ドキュメント版YouTubeと言われるドキュメント共有サービスの米ScribdがFlashからHTML5への移行を発表した。今後数カ月をかけて同サービスで共有されている数千万規模の文書、書籍・雑誌、プレゼンテーションをHTML5ページで閲覧・共有できるようにする。共同創設者でCTOのJared Friedman氏は「これまでで最大のHTML5化」とアピールしている。

ScribdはPDF、Office、OpenOffice、テキスト/リッチテキスト、PostScriptなど多様な形式をサポートしており、アップロードしたファイルはすべてFlashに変換されてWebブラウザで閲覧できるようになっている。HTML5化により、Flashを導入していないデバイス、またはFlashをサポートしていないデバイスでもWebブラウザでScribdを利用できるようになる。

Webブラウザ自体のHTML5サポートが必須になるが、HTML5機能対応はWebブラウザの大きな流れであり、特にスマートフォン/多機能携帯、タブレットなどモバイルデバイスのWebブラウザでHTML5機能サポートが進んでいる。HTML5化は今後モバイルでのドキュメント閲覧・共有の可能性を広げるものになるとFriedman氏は期待している。

Web 2.0 ExpoでScribdのHTML5化を発表するCTOのJared Friedman氏

HTML5がモバイルWebの可能性を広げる - 将来的にあらゆるスマートフォン/多機能携帯、電子リーダー、タブレットでHTMLによるドキュメント閲覧が可能になるとFriedman氏

これまでScribdがFlashを採用してきた理由は、ドキュメントの再現性を重視していたからだ。フォントやグラフィックス機能に制限のあった従来のHTMLでFlash同様にドキュメントを再現するには画像に頼るしかなく、それではテキスト選択や検索などの機能を利用できない。この問題が@font-face要素サポートや、canvas/VMLサポートで解決し、HTMLでも十分な再現性が得られるようになったことでHTML5化にふみ切る決断を下したという。

ScribdのHTML5ページ

開発に6カ月を要したというHTML5版のScribdページはスムースに動作し、スクロール、拡大/ 縮小、テキスト選択、検索、表示モード切換などの機能を備える。HTML5ページが用意されているScribdドキュメントでは現在Flashモードとの切り換えが可能で、2つのモードの表示や機能を比較できる。