三洋電機は2010年5月6日、2009年度(2009年4月~2010年3月)の決算概要を発表した。売上高は前年度比9.9%減の1兆5,946億4,000万円、営業利益は同290.1%増の322億8,200万円となり、株主に帰属する純損益は前年同期の932億2,600万円の損失から487億8,900万円の損失へと赤字幅を縮小したものの2期連続の損失となった。

同期の業績について会見を行った同社代表取締役副社長の前田孝一氏は、「第1四半期(2009年4~6月)は前年度の景気低迷の影響を受けたものの、第2四半期(2009年7~9月)からは部品関連を中心に回復傾向となり第3四半期(2009年10~12月)には前年同期並みに回復し、第4四半期(2010年1~3月)には前年同期比で13%の増収となった。しかし、本格的な回復には至っていないことに加え、原材料の高騰などによる影響のあった」と大枠を説明する。

2009年度の連結決算概要と四半期ごとの業績推移

今期より米国会計基準の適用により、6部門となった事業部別の売上高は、2次電池や太陽電池を含むエナジー部門が前年度比8.1%減の4,304億円、光ピックアップなど電子部品や半導体を含む電子デバイス部門の売上高が光ピックアップのPC需要回復に伴う売上増などがあったものの同3.9%減の3,014億円、デジタルカメラ(DSC)やテレビ、プロジェクタなどを含むデジタルシステム部門が北米でのテレビの売上増があったものの、DSCやプロジェクタの減収が影響し同16.8%減の3,245億円、業務用の空調危機や厨房機器、洗濯機などを含むコマーシャル部門は企業の設備投資の減少の影響を受け、同14.6%減の3,001億円、冷蔵庫などの家庭用機器やナビゲーションシステムなどを含むコンシューマエレクトロニクス部門が車載機器の好調に加え、冷蔵庫などのエコポイント対象製品の好調により同0.6%減の2,127億円、その他部門が同23.5%減の257億円となり、全体的には価格下落の影響を中心に約10%の減収となった。

各事業部門別の売上高

各事業部門の営業利益については、エナジーが2次電池の数量確保による単価下落などの影響により前年度比234億円減の238億円。電子デバイスが光ピックアップの出荷数増加に加え、キャパシタなどの好調による92億円の利益と、半導体の扱い品見直しによる評価損などの影響による71億円の損失により、結果として前年度の267億円の損失から21億円の利益へと益転した。

また、デジタルシステムはDSCやプロジェクタが単価下落の影響があったものの、北米地域でのテレビの販売が好調であったこともあり、同20億円減の100億円の利益を確保した。コマーシャルは企業投資の低迷による影響に対し、メディカル部門の好調や固定費削減などにより前年度21億円の損失から72億円の利益へと益転を果たした。

さらにコンシューマエレクトロニクスは、炊飯器や掃除機、電動アシスト自転車、冷蔵庫などの付加価値製品が好調だったこともあり、前年度21億円の損失から94億円の利益へと益転を果たし、その他の4億円の利益も含め、全事業セグメントで営業黒字化を達成した。

事業部門別の営業利益

なお、同社の2010年度(2010年4月~2011年3月)の業績について、「新興国中心に回復が進んでいるが、その一方で競争が激化している。三洋電機としては環境・エナジー分野の強みを積極的に打ち出していく」(前田氏)としており、売上高は2009年度1兆6,573億円(売上高にその他の営業収益を加えた額)に対し5.6%増となる1兆7,500億円、営業利益を前年度比23.9%増の400億円、継続事業税金等調整前純損益が同383億円の損失から150億円の黒字へ、帰属純利益も同488億円の損失から50億円の黒字へとそれぞれ益転となる見通しとしている。

2010年度の通期業績見通し(営業利益の内訳はエナジーが177億円、電子デバイスが136億円、デジタルシステムが107億円、コマーシャルが99億円、コンシューマエレクトロニクスが101億円、その他が2億円で消去および全社が-222億円の合計となっており、半導体の頑張りなど状況いかんではさらなる積み増しの可能性もあるという)