NTTドコモは、2009年度の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比3.7%減の4兆2,844億円、営業利益は同0.4%増の8,342億円、税引前利益は同7.1%増の8,362億円、当期純利益は同4.9%増の4,948億円で、減収ながら、わずかではあるが増収となった。データ通信の収入は増えたものの、料金が割安になるプランの浸透で音声収入が減少。しかし、販売コストなどの低減化で、利益はほぼ前年並みとなった。

同社の携帯電話事業の売上高は、対前年同期比4.9%減の4兆1,677億円、営業利益は同1.1%減の8,456億円だ。2010年3月期末の携帯電話契約数は同2.7%増の5,608万、そのうち「FOMA」サービスは全体の94,9%を占めるまでになっている。同じく、携帯電話販売数は、同10,4%減の1,803万台だった。市場シェアは同0.9ポイント減の50%、解約率は同0.04ポイント減の0.46%だった。

ARPU(1契約あたりの月間平均収入)は総合ARPUが同360円減の5,350円。音声ARPUは同430円減の2,900円、パケットARPUは同70円増の2,450円となった。この数年間、音声ARPUは下降し続け、パケットARPUは右肩上がりになっているが、未だ音声ARPUの方が高い。だが、同社は2010年度中に、パケットARPUに、音声ARPUを追い越させることを目指している。今年度は、パケットARPU2,560円、音声ARPU2,550円とすることが目標だ。そのために、同社では、動画サービスやデータ通信端末の普及、パケット定額サービスの加入促進を図るなど、パケット通信の利用拡大をさらに推進していく方針だ。

今年度は、通信速度が大きく向上するLTEがいよいよ12月から開始される予定だ。この領域に向けた設備投資は350億円規模となる見通しで、需要の高い、東名阪の地域から導入される。今年度は、約1,000局の基地局を設置する。まず、データカードを提供し、順次、端末の種類を増やす意向で、2011年からハンドセット型も投入する。下り通信速度は最大で37.5Mbpsとなり、2GHzの周波数帯を用いる。

2010年度の業績予測は、売上高が同1.5%減の4兆2,220億円、営業利益は同0.7%増の8,400億円。税引前利益は同0.8%増の8,430億円、当期純利益は同0.4%増の4.970億円としている。減収としている理由は、顧客満足度向上の推進による解約抑止やパケット通信の利用促進策。加えて、パケット定額サービスの普及拡大の取り組みにより、パケットARPUの増加が見込める一方、割安な料金プランの浸透により、音声ARPUは低減化するとみている点などだ。増益としているのは、設備投資の抑制によるネットワーク費用の低減、継続的な経費節減などを進める意向で、営業費用は前期比で2%縮減できるとみているため。