成長が見込まれるソーシャルゲーム市場で「Yahoo! JAPAN」と「モバゲータウン」が手を組んだ。ヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の2社は今夏をめどに、PC向けソーシャルゲームプラットフォーム『Yahoo!モバゲー(仮称)』を立ち上げる。

井上雅博 ヤフー代表取締役社長と南場智子 ディー・エヌ・エー代表取締役兼CEO。SNSなどのソーシャルグラフ(ユーザ間のつながり情報)を活用したソーシャルゲーム、そのPC向け市場ではSNS「mixi」が先行しているが、「Yahoo!モバゲー(仮称)」を通じて同市場の"圧倒的なプレイヤー"を目指すという

Yahoo!モバゲーは、主にPCユーザ層に向けた"ソーシャルゲーム"特化型のポータルサイトになる。DeNAは携帯電話向けゲームSNS「モバゲータウン」で培ったソーシャルゲームの開発や運営ノウハウを、ヤフーはYahoo! JAPANが持つ集客力、ID認証や決済手段などのサービス基盤を持ち寄る。「両社の強みをいかして、PCの領域でNo.1のソーシャルゲームを作る」(井上雅博 ヤフー代表取締役社長)。遊び方のイメージとしては、PC、携帯電話などデバイスが変わっても続きをプレイできるようなゲームを目指すという(モバゲーの利用には同IDが必要)。サードパーティは、モバゲーが公開するOpenSocial準拠のAPIを利用したゲーム開発が可能になる。収益モデルはアイテム課金や広告売上のレベニューシェア。

PC向けソーシャルゲーム市場に強い期待感

両社ともに、PC向けソーシャルゲーム市場に寄せる期待は大きい。南場智子 DeNA代表取締役兼CEOが「爆発的な成長を牽引したのはソーシャルゲーム」と話すように、モバゲーでは昨年10月に内製ソーシャルゲームを投入後、売上、PVともに急拡大。月間PVはおよそ3倍増の616億PV(2010年3月)を記録した。

一方で両社は、海外でも急拡大するソーシャルゲーム市場の中心はPCユーザ層向けであるとし、携帯電話向けが目立つ日本でも、今後はPC向け市場の高成長が見込めると展望。PC向けソーシャルゲーム市場に乗り出すうえで、PC向けのサービス基盤を持たないDeNAと、ソーシャル系サービスを思うように展開できていないヤフーの思惑が一致した。モバゲーはARPU(一人あたりの平均収益)の高い30代ユーザへのリーチ、強力な集客力を持つポータルサイトでの展開が可能になるほか、Yahoo! JAPANは魅力的な課金コンテンツを得るなど、ともにメリットは大きいとしている。また、ゲーム開発者にとって新たなビジネスチャンスの場になるという点も強調した。

Yahoo!モバゲーは、現在ヤフーが運営している「Yahoo!ゲーム」の主要コンテンツとして2010年晩夏に公開予定。パートナー向けには5月中旬に説明を開始、開発環境は初夏に提供する予定となっている。