マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 IT Proテクノロジー推進部 エバンジェリスト 田辺茂也氏

システムの運用・管理効率をこれまで以上に高めるために何を補強すべきか――これはマイクロソフトが長年にわたり向き合い、取り組んできた課題である。

これまでマイクロソフトでは、GUIによる管理ツールを充実させ、各製品を簡単かつ便利に管理するという方向性で上記の課題に取り組んできた。その結果、現在の同社製品はITにそれほど明るくない管理者でも支障なく利用できるレベルに達しており、この活動は大きな成功を修めたと言ってよいだろう。

そんなマイクロソフトが次の課題として見据えているのが、GUIツールだけでは実現できない柔軟な管理と、製品を跨った統合的な管理だ。以下、マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 IT Proテクノロジー推進部 エバンジェリストの田辺茂也氏と高添修氏の話を基に、上記2点について説明していこう。

CUIユーザーから見たMicrosoft製品

マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 IT Proテクノロジー推進部 エバンジェリスト 高添修氏

マイクロソフト製品のGUI管理ツールは強力だ。セットアップはウィザード形式で行え、設定の変更に関しても画面上の項目を埋めるだけ。ITにそれほど明るくない担当者でも支障なく利用できる。

そのため、一般のIT管理者からは高い支持を得てきたが、一方で、ITスキルの高いユーザーから見ると不満に感じる部分もある。というのも、GUIによる管理では、当然ながら、GUIに用意された機能しか利用することができない。その制約がCUIユーザーにとって足枷となるのである。

例えば、各機能を連携させたり、同じ処理を繰り返し実行したりといった操作が必要なときにも、GUIでは(専用の機能がない限り)まとめて処理を実行することができない。何度も値を入力して、何度もマウスをクリックする必要があり、コマンドを駆使して一括処理を行うCUIユーザーには非常に煩雑に感じるのである。

製品が提供するAPIを使ってプログラムを作りあげればGUIにない機能を追加することもできるが、それにはそれなりの労力とAPIの学習が必要であり、日々の業務で手いっぱいの管理者が対応するのはなかなか難しい。

生まれ変わったPowerShell

こうした問題を解決するためにマイクロソフトが強化しているのがWindows PowerShellである。同ツールは、Windows 7、Windows Server 2008 R2のリリースと同時に2.0へとバージョンアップ。CUIユーザーにも認められる使い勝手を獲得し、GUIツールに不足する柔軟性の部分を補っている。

では、PowerShell 2.0で一体何が変わったのか。機能の詳細は、他の記事にゆずるとして、ここでは、PowerShellと各製品との関係を紹介していきたい。

参考までに、PowerShellの特徴とPowerShell 2.0の新機能のスライド