企業におけるグループウェア利用でもっとも重視される機能は「スケジュール管理」です。GoogleのWebアプリケーションで言えば『Googleカレンダー』が相当します。Googleカレンダーは、個人、企業を問わず幅広く利用されており、AjaxとJavaScriptを使ったUIによって、マウス操作によるスケジュールの作成、変更などが容易に行なえます。ローカルアプリケーションと比べても遜色なく、とても高機能です。今回はGoogleカレンダーをもっと便利にするツールを紹介します。

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【ご注意ください】本企画で紹介しているサービス/ツールについては各自の責任のもと導入、使用されるようお願いいたします。使用による不具合等について編集部では責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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デスクトップ上でスケジュールを通知

名称 GMinder

予定されているスケジュールを見逃さないようにするには通知機能を使うのがよいでしょう。Windowsユーザであれば『GMinder』を利用できます。指定したアカウントにひも付いたカレンダーを選択するだけで、タスクトレイに常駐して通知してくれます。通知タイミングは予定が近づいた時と、実際に予定時間になった時の2回、音や画面表示で通知されます。

設定画面。登録されているカレンダーを選ぶだけ

スケジュールの一覧は、タスクトレイの常駐アイコンから確認することも可能です。テキストで予定を追加するQuick Add機能もあるのですが、現時点では日本語に非対応なので、英文で予定を入力する必要があります。

予定を一覧したり、追加する機能もあります




「Cron」の管理ツールにGoogleカレンダーを使う

名称 gCalCron

Linuxなどで使われるタスクスケジューラ「Cron」をGoogleカレンダーで管理しようというソフトウェアが『gCalCron』。専gCalCron専用として作成したGoogleカレンダーで、スケジュール実行したいプログラムを設定するというもの。その後は定期的にGoogleカレンダーをチェックし、設定されているスケジュールがあれば、指定プログラムが実行されます。実行権限はroot限定のようです。

Googleカレンダーに専用のカレンダーを作って管理します

ニーズは限られると思いますが、CronのWebベースの管理インタフェースとして利用可能です。一度設定してしまえば、サーバにログインしなくともCronの設定ができるという利点もあります。

Cronはデフォルトで30分に1回動作します




Googleカレンダーを活用した請求書作成ツール

名称 Google Calendar Invoice Creator

Google Calendar Invoice Creator』は、クライアントごとなどに作業時間を記録しておき、その結果をもとに請求書を作成するソフトウェアです。コンサルティング系、弁護士、会計士など、作業単位ではなく時間単位で請求書を作成する仕事の方に適したシステムです。テンプレートはHTMLで作られており、フォーマットの変更が容易です。請求書という形に限らず、作業時間管理用として一覧する用途にも向いていそうです。

GoogleカレンダーのXMLを指定して請求書を作成します

スケジューラは通常、予定を登録する用途が主になりますが、本ツールは、消化したスケジュールを後で確認するという面白い視点のソフトウェアと言えるでしょう。

請求書作成画面。テンプレートは大部分がHTMLで作られています




Macユーザーに! 「Growl」でスケジュールを通知

名称 Google+Growl

Mac OS Xではデファクトになっている通知システムが「Growl」です。そのGrowlと連携して、Googleカレンダーの予定通知を行なうのが『Google+Growl』です。PCで作業に没頭していると、予定が迫っていることをつい忘れがちですが、他のシステムと同じGrowlから通知されれば気づきそうです。

通知が表示された例。Growlを別途インストールする必要があります

なお、Googleカレンダーだけでなく、Gmailの通知にも対応しています。通知する時のメッセージ内容はテンプレートを使って細かく設定できるようになっています。

設定画面。細かく文字の指定ができます




OutlookとGoogleカレンダーを同期する

名称 Google Calendar Sync

Microsoft OutlookとGoogleカレンダーを同期させたいというニーズはとくに企業勤めの人に多いようです。GoogleカレンダーはiCal形式で出力できるので、それをOutlookで読み込むことならできます。そこから一歩進んで、双方向の同期システムにするのが『Google Calendar Sync』です。双方からの更新に対応する2-way設定、一方を主とする1-way設定が用意されています。

設定ウィザード。認証情報と同期設定を行います

個人のスケジュールはもちろん、Googleカレンダーの特性を活かして外部システムとも連携させたいという時には欠かせないソフトウェアです。Google製という点も見逃せません。




コマンドラインでGoogleカレンダーを操作

名称 gcalcli

Googleカレンダーを外部のシステムと連携させたい場合、GoogleカレンダーAPIに対応したライブラリを使うのが基本になります。ただ、ライブラリの使い方を覚えなければならないし、プログラミングの知識も必要になります。そこで使えるのが『gcalcli』です。コマンドプロンプトやターミナルからGoogleカレンダーを操作するライブラリになります。プログラムからコマンドを実行すれば予定の追加やダウンロードもできるようになります。

コマンドラインで操作します。日本語はそのままでは文字化けするので注意

サーバにログインしている時にスケジュールをチェックしたいといったニーズにもぴったりです。




Googleカレンダーと「iCal」の同期を簡単に

名称 Calaboration

Mac OS X標準のカレンダーアプリである「iCal」はCalDAVに対応しており、HTTPベースでカレンダー情報の参照、更新ができるようになっています。そしてGoogleカレンダーも同様にCalDAVに対応しています。設定画面から登録すれば使えるようになりますが、専用のURL設定などが若干複雑です。そこでオススメなのが『Calaboration』。

リストアップされたカレンダーを選ぶだけでiCalに登録されます

Googleアカウントとパスワードを入力すると登録済みカレンダーを一覧で表示され、そこから選ぶだけでiCalと同期できるようになります。iCalでGoogleカレンダーを使う時に便利なウィザードアプリケーションです。




Googleカレンダーの予定をサイトに埋め込みたい

名称 google-calendar-js

ファンサイトやアーティスト自身のサイト、セミナーの予定などをGoogleカレンダーで管理しているケースは多々あります。そうしたGoogleカレンダーの予定をブログなどに表示させたい時に使えるのが『google-calendar-js』です。

日付の切り替えもその場でできます。カスタマイズも容易です

このJavaScriptを読み込み、設定を行えばGoogleカレンダーをWebサイトに組み込めるようになります。カレンダーは公開設定にしておくことが前提です。スケジュールの管理インタフェースをGoogleカレンダーで、その表示を自サイトでといった使い方が考えらるでしょう。




作業時間を計測するために

名称 timeEdition time tracker

シンプルなインタフェースの時間管理ソフトウェア

一日の業務時間は適切に使われているか、もっと短縮できる業務はないか──といった改善にはまず調査が必要です。そのための作業時間管理ソフトウェアが『timeEdition time tracker』です。作業項目を登録しておき、作業前後でボタンを押すと、時間が計測されるようになります。計測した内容はレポートとして表示でき、その結果をGoogleカレンダーに反映することができます。

Googleカレンダーを使えばさまざまなデバイスやサービスと連携させられるので、活用の幅も広がるのではないでしょうか。

作業時間をGoogleカレンダーにエクスポートできます




ThunderbirdとGoogleカレンダーを連携させる

名称 Lightning

職場の電子メールソフトに「Mozilla Thunderbird」を利用しているケースで便利なツールを紹介します。スケジュールの調整に電子メールを利用することは多いですが、その際は電子メールソフトにカレンダー機能があるととても便利です。ThunderbirdとGoogleカレンダーを連携させるアドオンが『Lightning』になります。Mozilla製のカレンダーアプリケーション「Sunbird」をThunderbirdに組み込んだアドオンになります。別途「Provider for Google Calendar」が必要ですが、双方向の同期が可能になります。

カレンダーの表示。スケジュールとメールの相性はとてもよいです




カレンダーサイトの作成に便利なjQuery製ライブラリ

名称 FullCalendar

カレンダーを使ったWebサイトを作ろうと思った時に、そのデータ登録インタフェースを分かりやすく作ることは簡単ではありません。データ管理用のインタフェースであれば、やはりGoogleカレンダーを使うのが便利でしょう。そして、登録したデータをWebサイトに表示するのに使ってみたいのが、jQuery製ライブラリの『FullCalendar』。

デフォルトでは最大サイズで表示。CSSで幅を変更できます

連携先をGoogleカレンダーに設定しておけば、Webサイトに埋め込んだカレンダーにGoogleカレンダーのイベントを表示できるようになります(参照のみ)。他のjQueryプラグインと組み合わせることも容易なので、拡張性の高さは言うまでもありません。




Mac用ウィジェットでスケジュールに速攻アクセス!

名称 Google Calendar Widget

Dashboardから予定を確認できます

スケジュールにはすばやくアクセスできると便利です。その点、Mac OS Xのウィジェットである『Google Calendar Widget』なら、Dashboardを呼び出すだけでスケジュールを確認できます。通常のGoogleカレンダーであれば、Webブラウザを起動してGoogleカレンダーにアクセスしてスクロールして……という手順が必要ですが、Google Calendar Widgetであればキーひとつで呼び出せます。非公開用のXMLファイルを登録すれば、非公開設定のカレンダーでも閲覧可能です。




アップル製以外のiPhoneアプリでGoogleカレンダーと同期

名称 iPhone Gcal

iPhone/ iPod TouchではMicrosoft Exchangeのプロトコルを使ってGoogleカレンダーと同期できるようになっています。ただし、これはアップル製のカレンダーアプリケーションを使っている場合です。自作アプリでもGoogleカレンダーのデータを使いたいと思ったら、『iPhone Gcal』を試してみましょう。このソフトウェアは、ExchangeプロトコルではなくGoogleカレンダーのWeb API(GData)を利用しています。

Googleカレンダーにアクセスしてスケジュールを一覧で表示します

予定を新規作成することもできます

カレンダー情報を必要とするiPhoneアプリを考えたら、同様の仕組みを使うことでGoogleカレンダーと容易に同期でき、かつユーザビリティの高いアプリケーションが開発できるはずです。

まとめ

カレンダーツールは個人、企業を問わず重宝します。企業だけであればグループウェアに付属するカレンダー機能で十分なこともありますが、プライベートの予定も管理するなら、Webブラウザを使ってどこからでも確認できるタイプが便利です。さらに携帯電話やスマートフォンと連携できれば利便性は高まります。スケジュール情報自体もアイディアひとつで様々な利用法が考えられるはずです。Googleカレンダーは、Web API(GData)またはCalDAVを公開しているので外部サービスとの連携が容易です。単なるスケジューラとしてだけでなく、蓄積したデータの活用や別データとの連携などに使ってみてください。

著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)

1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。